今季のサッカー明治安田J2は、第18節を終え、全22チーム中、半数を超える13チームが勝ち点差1桁内にひしめいている。かつてない大混戦の中、徳島ヴォルティスは6月17日午後7時から、ホーム・鳴門ポカリスエットスタジアムでロアッソ熊本と対戦する。第18節で湘南ベルマーレに黒星を喫し10位となったものの、首位との勝ち点差は7。J1昇格プレーオフの6位までは勝ち点差3と、昇格は十分に狙える位置にいる。シーズンの折り返しまで残り3試合、後半戦に向けて再び上昇気流に乗りたいところだ。ただ、今季の徳島には少し気になるデータがある。
◆前節敗戦したチームに勝てない
「上位に勝って、下位に勝ちきれない」。今季の徳島には、そんなイメージがある。もう少し試合結果を見てみると、対戦相手の前節の試合結果で、徳島の成績も大きく分かれている。徳島と対戦する前の試合で敗れている相手に対し、徳島は今季1度も勝てていない。前節敗戦チームとの試合は、今季ここまで6試合で結果は4敗2分け。今季初黒星を喫した京都をはじめ、松本、千葉、岡山の4チームに敗れ、岐阜と讃岐に引き分けた。今季、前節敗れた相手に未勝利なのは20位讃岐と22位の山口だけ。昨季の徳島をみると、同条件の試合結果は10試合で4勝2分け4敗と五分だった。
◆上位で負けチームに勝ててないのは徳島のみ
負けチームは、次の試合でシステムやメンバー変更など改善に向けた対策を打ってくるため、やりにくさがあるともいわれる。しかし、徳島より上位の9チームで負け越しているのは、首位の福岡のみ(1勝2分け2敗、このうち1敗は徳島)。長崎が五分で、他の7チームは勝ち越しているため、試合内容は別として、数字上は勝ちが難しいわけではないようだ。
今季の徳島は、相手のスタイルに合わせるのではなく、自分たちのスタイルを貫くことを第一にしている。もちろん相手の分析は行っているが、相手に多少の変化があっても影響は少ない。実際にほとんどの試合で主導権を握り、ボールを保持する時間も長く、多くの得点チャンスをつくっている。敗れた試合でも、自分たちのペースに持ち込めなかったのは松本戦と、退場者が出て数的不利になった千葉戦ぐらいだ。
◆勝負の鍵を握る先制点
前節黒星で徳島戦に臨んだチームの現在の順位をみると、いずれも徳島より下位。下位チームの多くは、勝機を得ようと、自陣ゴール前に引いて守りを固め、カウンターや前線へのロングボールで得点を狙ってくる。先制点を挙げると、さらに守りに重心を置くため、ゴールをこじ開けるのが難しくなる。徳島は、前節黒星だったチームと対戦した6試合のうち、岡山戦以外の5試合で先制を許している。先制点を許すと「彼らのプラン通りになってしまう」と徳島のロドリゲス監督。徳島が先制点を奪えれば、相手は攻めに出ざるをえず、守りに隙が生まれる。勝利のためには先制点がほしい。
◆次戦の相手・熊本は前節敗戦
第19節で徳島がホームに迎える熊本は、前節、長崎に敗れている。今季3度目の3連敗で19位に沈む。チーム状況は芳しくなく、6月14日に監督交代が発表されたばかりだ。徳島は上位争いに踏みとどまるためには、勝ち点3が必要な試合で、未勝利のジンクスも破り、上位へ再浮上する足がかりにしたい。ロドリゲス監督は熊本について「監督が交代し、モチベーションも高く臨んでくるだろう」と警戒する。それでも、ホーム5試合ぶりの勝利を目指し「そうした相手にもしっかりと対応し、いままで続けてきたことをやって勝ち点3を取る」と意気込む。
◆もう一つの興味深いデータ
今季、徳島にはもう一つの興味深いデータがある。勝って徳島との対戦に臨んだチームに対して無敗だ(徳島以外の無敗は町田が3試合で1勝2分け)。このように徳島は、相手が前節勝ちか、負けかで正反対の結果となっている。前節白星のチームと対戦した6試合で、徳島は5勝1分け。大分、横浜FC、町田、福岡、群馬を下し、名古屋と引き分け。徳島は相手チームの連勝をことごとく阻んでいる。こちらはシーズン最後まで続いてほしい。
(2017年6月16日)