毎月勤労統計の初動調査におけるずさんな対応や、賃金構造基本統計の不正調査の発覚など、厚生労働省の失態が次々と明らかになっている。

 菅義偉官房長官は記者会見で「行政機関としての基本的な姿勢に大きな問題がある」と述べたが、同じ思いの人は少なくないだろう。

 国民の信頼を損ない、国際的な信用も失いかねない事態を招いている。早急に不正調査の解明や再発防止に取り組まなければならない。

 懸念されるのは今、進められている調査に対し、中立性・公平性への疑念が拭えないことだ。国会は政府任せにせず、調査の在り方も含め検証する必要がある。

 先の参院予算委員会で根本匠厚労相は、勤労統計の不正を当初検証していた省内の監察チームが有識者に連絡せず、身内だけで昨年末に関係者への聴取を始めていたことを明らかにした。根本氏と有識者に伝えられたのは年明けだったという。

 根本氏は再三、調査において「第三者性」を強調してきたが、初動段階から疑問符がついた形だ。

 さらに、根本氏が一報を受けた翌日は、勤労統計の確報値を公表することになっていたが、事務方の不手際から、不正の事実を伏せたまま公表する結果となった。

 根本氏のガバナンス(統治)の欠如を示していよう。

 監察チームの調査は、特別監察委員会に引き継がれた。客観的な調査が実施されているというものの、最終報告の内容によっては監察委の責任が問われる事態になる。

 一方、賃金統計の不正は、調査員による事業所への訪問調査の実施を、少なくとも2006年から調査票の郵送で済ませていたというものだ。

 担当室長が、ルール違反と認識しながらそのことを総務省に報告しないと判断したことも分かった。隠蔽(いんぺい)の意図があったのは明白である。

 同省は1月下旬の公表後、内部調査を進めていた。ところが、政府は総務省の行政評価局にプロジェクトチーム(PT)を設置し、動機などの解明に乗り出すとした。

 厚労省の調査には信頼がおけないということだろう。ただ、総務省も政府の組織であり、PTのメンバーは同局の職員や他の部局に所属する統計業務の経験者らだ。身内の調査に変わりはなく、疑義が生じかねない。

 きのうの衆院予算委員会に、統計不正で更迭された大西康之元政策統括官と、樋口美雄特別監察委員長(労働政策研究・研修機構理事長)が参考人として出席した。

 しかし、樋口氏は監察委の調査内容などについての答弁を避けた。与党が、機構理事長の立場なら、との条件付きで招致に応じたからだ。結局、問題の核心に迫ることはできなかった。

 与党は真相解明に後ろ向きではないのか。国会は集中審議の場を設けるなど、真剣に向き合ってもらいたい。