何度も行われた改修工事でコンクリートが複雑な模様を描く第十堰.渇水期の今は歩いて渡ることができる=石井町藍畑

 寒さが和らいだ日に吉野川の第十堰(ぜき)を訪ねた。冬は渇水のため、川の水が堰を越えず、堰の上を歩くことができる日も多い。

 堤防上から眺めると、水の青さの中にコンクリートの白が映え、巨大なブロックの列が幾何学模様にも見える。

 石井町の南岸から北岸の上板町側に向かった。距離は約1キロ。これまでに何度も改修された痕跡が次々に現れる。急流にさらされた場所は、コンクリートが削られ、青石が敷き込まれている。江戸時代に設けられて以来、暴れ川と呼ばれた吉野川の激しさと歴史を感じさせる。

 人の多さにも驚いた。散策を楽しんだり、犬の散歩をしたり。段差に腰掛けて日なたぼっこをするお年寄りや、野鳥の撮影を楽しむ写真愛好家もいた。わずか1時間ほどの滞在だったが、訪れる人が相次いだ。

 今から約20年前、第十堰の改築計画を巡って賛否が分かれ、県内は大きく揺れた。2000年1月23日には、改築の是非を問う住民投票が徳島市で行われた。あれから19年。人々の記憶から薄らぎつつある。歴史の舞台は、当時の騒動がうそだったかのようにのんびりとした時間が流れていた。