日本高野連は10日、今春の選抜大会から導入することが決まっているタイブレークを、夏の全国選手権大会や地方大会でも一律に採用することを決めた。延長十三回無死一、二塁から開始し、試合の決着がつくまで繰り返す。決勝だけはこれまで同様に延長十五回まで行い、同点の場合は引き分け再試合(再試合ではタイブレークを適用)とする。全国大会から都道府県大会まで、ほぼ全ての公式戦でタイブレークが実施されることになる。
徳島県高野連は、県春季大会と県新人中央大会で既にタイブレークを導入し、タイブレーク突入後の先頭打者をチームが選択できる方式を採用している。今回の決定を受け、夏と秋の県大会にも導入を広げ、打順は前のイニングから引き継ぐ方式に統一される。県高野連の須崎一幸理事長は「県大会から甲子園までルールを統一した方が分かりやすい」と理解を示す。
県春季大会は十三回から、県新人中央大会は十回から無死一、二塁で始まるタイブレークを取り入れている。四国大会などにつながらない新人中央大会は今後も十回タイブレークを維持する。
県大会でタイブレークが初めて適用されたのは、昨年8月の県新人中央大会1回戦の小松島―城南戦。両校とも「最も当たっている選手に打たせたい」との理由で先行の城南は3番、小松島は1番を選んだ。
いずれも無死からエンドランを試みたが、失敗して先頭打者が凡退。城南が無得点に終わったのに対し、小松島は2死二塁から適時打で1点を奪い、サヨナラ勝ちした。
両監督は後攻の有利さを挙げる。大量点を狙いがちな先行に対し、後攻は先行の得点に応じて送りバントやスクイズ、エンドランなどの作戦を立てやすいからだという。
小松島の豊富監督は、甲子園の懸からない試合と前置きした上で「勝敗を抜きにして面白かった」。城南の島監督は「投手の精神的負担が大きくなる」と慎重な姿勢を見せながらも、「ルールとして決まった以上、攻守で対応できる練習をしたい」と前向きだ。
劣勢のチームに優位に働くこともあるタイブレーク。須崎理事長は「延長十二回までに決着をつけようと頑張る学校は増える。延長の戦い方もがらっと変わる」とみている。
<タイブレーク> 野球やソフトボールの場合、延長戦で人為的に走者を置く早期決着の特別ルール。高校野球では明治神宮大会や国体などで導入されている。社会人の都市対抗大会では2003年から採用。U―18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などの国際大会でも実施されている。