約20人が訪れた県動物愛護管理センターの飼い主をさがす会=神山町阿野

 「小さい時から私は猫に助けられている。そんな猫が多く殺されているのを知り、殺処分がなくなってほしいと訴えたかった」。東みよし町の小学生が犬と猫の「殺処分ゼロ」を求める手紙を、徳島新聞に寄せた。徳島県内の殺処分数は以前に比べ大幅に減少しているものの、2017年度は873匹に上り、1日に2匹以上が命を失っている数字だ。望まない繁殖や飼い主の放棄などが背景にあり、県や動物愛護団体は、不妊・去勢手術や最期まで面倒を見る「終生飼養」の徹底を求めている。

 投稿したのは三庄小学校6年の高橋美優さん(12)。家で猫を飼っており、「気持ちが落ち込んだり、疲れたりした時に猫と触れ合うと、元気が出る。随分助けられている」と言う。

 テレビ番組で殺処分されている現状を見て、手紙を書いた。クラスメート30人に意見を聞き、28人が殺処分の中止を求めていたことを紹介。対策として里親が増え、地域で管理する「地域猫活動」が広がればいいと提言した。

 徳島県内の犬猫の殺処分数は07年度には6017匹だったが、不妊・去勢手術の推進や愛護意識の高まりなどで、年々減少している。しかし近年は減少幅が小さく、県動物愛護管理推進計画(14~18年度)の目標数値を4年連続で上回っている。17年度の目標は600匹だった。

 17年度に県動物愛護管理センター(神山町)に収容されたのは、犬は捕獲が517匹、引き取りが465匹などだった。飼い主に戻ったのは171匹、愛護団体や里親に譲渡されたのが259匹で、617匹が殺処分された。猫の殺処分は256匹だった。

 収容された犬は約半数が子犬、猫は約7割が子猫で、望まない繁殖によって捨てられたり、持ち込まれたりするケースが目立つという。

 このため、センターでは「殺処分を減らすには、不妊・去勢手術の徹底が不可欠」としている。ただ、センターや徳島県内の愛護団体によると、「かわいそう」「費用がかかる」などの理由で、手術をしていない飼い主も多いようだ。

 飼い主から「引っ越さなければならなくなった」「入院する」といった理由で引き取りを求めてくる場合も多い。センターは「最期まで責任を持ってほしい。飼えなくなった時に面倒を見てくれる人を確保してから飼ってほしい」と呼び掛ける。

 迷い犬の返還率を高めるため、飼い主に対してペットの身元を証明する「マイクロチップ」の装着を推進しているものの、まだまだ浸透していない。

 地域猫活動は、飼い主がいない猫を捕獲し、不妊・去勢手術をした上で地域に戻して住民が管理する。県内ではこれまで117カ所で活動が行われており、県は今後も増やしていきたい考えだ。

 県動物愛護管理センター 毎月2回 譲渡会開催

 犬猫の殺処分の減少に向けて官民で力を入れているのが、里親への譲渡だ。県動物愛護管理センターでは毎月2回、「飼い主をさがす会」を開いているほか、動物愛護団体などに譲り渡している。

 8月26日にあった「さがす会」には、9組約20人が参加した。講習会を受けた後、用意された犬猫と触れ合い、希望を決める。この日は4組が犬を1匹ずつ持ち帰った。失われるはずだった命が救われた。

 2006年に設立された徳島市内のNPO法人HEART(ハート)は、行き場を失った犬と猫を保護している。インターネットや譲渡会を通じて、これまで1400匹を里親に引き渡した。

 飼い主の責任を明確化させるため、無計画に繁殖させた場合の引き取りはせず、アンケートや電話でのやりとりを通して任せられると判断した人にだけ譲り渡す。軽い気持ちの人も多く、希望者の半数以上は断っているという。現在は約200匹の犬と猫を保護している。

 スーザン・マーサー理事長は「ここに持ってくれば命を助けてもらえると気軽に来る人も多い。不妊・去勢手術を必ずするなど責任を持って飼ってほしい」と話している。