2019年3月卒業予定者の就職活動が本格化しています。少子化と高齢化で25年には3人に1人が65歳以上になると予測される日本。女性の労働力活用を目指して「女性活躍」が喧伝され、企業も貴重な働き手を確保しようと躍起です。一方で、社会の仕組みの多くは男性中心のまま。そんな中、現代の女子学生は何を重視して企業を選んでいるのでしょうか。

 教員志望者が多い鳴門教育大を除く、徳島大、徳島文理大、四国大の学部4年、修士課程2年に在学する就職活動中の女子学生計10人(21~23歳)に話を聞いた。

 大半の学生が口にしたのが、「家族ができた場合を考えると・・・」という言葉。とりわけ転勤について心配する声が後に続いた。

 食品業界を目指すHさんは「選べるなら、エリア職。結婚すれば転勤は大変そう」と語る。住宅業界の営業職などを考えているDさんは「できれば実家のある四国内で働けるエリア職がいい」。製薬業界志望のJさんは「男性は転職するなどして妻に付いてきてくれるのかな。女性が男性に付いていくケースはよく聞くけれど・・・」とつぶやく。

 育児・介護休業法は転勤で育児や介護が困難になる労働者について、事業主に配慮を求めている。男女雇用機会均等法は合理的な理由なく、転勤を採用や昇進の要件にすることを間接差別とする。しかし現実には男女問わず、転勤と私生活の間で苦しむ労働者は多い。

 全国展開する企業の中には、柔軟な転勤が可能である点をアピールする所もあるようだ。Bさんは大手金融機関の選考に応募した。仕事内容への興味に加え、「結婚した場合、夫の勤務地に合わせて働く支店を変えられる点が魅力だった」と語る。
 
 ◆育休後の処遇は

 学生はあの手、この手で企業の働きやすさを見極めようとしている。

 「育休を取れますか」と聞くと、企業側は「取れる」と回答する。だから、「具体的に育休取得者の人数や復職率を尋ねます」とGさん。「育休復帰後、配属される部署も気になるところです」。育休から復帰した女性社員を紹介してもらったこともある。

 出産などライフイベントを経ても働き続けられるか―。さまざまな要因が絡むが、数字は厳しい現実を示す。国立社会保障・人口問題研究所の15年の調査によると、仕事をもつ女性の47%は第1子出産時に退職している。

 各大学の就職支援担当部署も「長く働ける仕組みがあるかどうか」を確認するよう学生にアドバイスしている。徳島文理大の蔵本憲昭就職支援部長は「求人を寄せる企業には総合職で家庭をもつとどういうキャリアの可能性があるかを尋ね、その回答を学生に伝えている」と話す。

 インターンも、学生にとっては組織文化を知るチャンスだ。「40年以上働くことを前提に就職先を探している」と言うFさんは、20社ほどのインターンに参加した。「自分の目で見たら、体育会系かどうかなど、雰囲気が分かります」。既に内定を1社から得ている。この会社の「お客様を大切にするためにも、社員を大切にする」という理念に共感しているという。

 Gさんはインターン中、休憩時間には社員同士の会話に耳を傾けた。「先輩と後輩がどんな風に話しているのか見ていました」。確かに、読み取れる情報は多そうだ。

 徳島大キャリア支援室で就職相談を受けるキャリアコンサルタントの山野明美さんは「今の学生さんは、人間関係がいいところかどうかをよく見ている」と話す。

 重視するのは人を大切にする組織風土。しかし、その会社に興味を抱くきっかけになるとみられたのが、第一印象だ。企業が説明会などに投入する若手エース社員や、就活生の気持ちに寄り添う人事担当者にひかれて、インターンなどに応募したという声が複数から聞かれた。
 
 ◆奨学金返せるか

 貸与奨学金の返済を考えながら就職活動をする様子も浮かび上がった。日本学生支援機構の貸与奨学金は、今や学生の2・7人に1人が利用する社会インフラ。一方で、返済に苦しむ人も増えて社会問題化している。

 県内就職を希望するAさんは、就職先を選ぶ上でまず重視するのは給与。「今、1人暮らしをしていて月約6万円の奨学金を借りている。就職後は返済しながら1人暮らしできるだけの水準の給与が必要」と話す。

 徳島県の16年度の新規学卒者(大卒女性)の初任給額平均は18万8300円で、全国平均の20万円より6%低い(徳島労働局がまとめた徳島県の賃金統計より)。自宅からの勤務を想定し、住宅手当がない企業も多い。

 「県内の中小企業も給与水準を見直してもらわないと、積極採用している都市圏の企業に良い人材が流れてしまう」。四国大学就職キャリア支援部の田村謙二郎参事は、地域社会の存続という観点から危機感を募らせる。リクルートワークス研究所(東京都)によると、来春卒業予定の大学・大学院生の求人倍率は1・88倍。中小企業に限っては9・91倍で、求人に対して全国で41・6万人の人材が不足している。
 
 ◆「女性」は有利?

 就職活動で、女性であるが故に感じたプラスポイントを尋ねた。「やわらかい接客ができると(企業側から)言われた」「女性客への対応を期待された」など企業側が性別ステレオタイプにのっとった役割を期待し、学生側もそれを肯定的に受け止めている様子が見受けられた。

 一方で、マイナスポイントを尋ねると、CさんとIさんは「化粧をしないといけないこと」と回答。「就活メーク」を指南する記事や本もたくさん出ているが、「なぜそれがマナー?」と疑問を呈す。うなずく女性も多いはずだ。

 Eさん、Jさんからは、(過去の採用実績を見ると)「女子の採用人数が男子より少ない」という声が上がった。

 14年に厚生労働省が全国118社を対象に実施した調査では、総合職の採用倍率は女性44倍に対し、男性30倍。リクルートワークス研究所による大卒求人倍率調査によると、18年の新卒採用実績では、1社あたりの平均女性比率は38・2%。業界や職種にもよるが、いまだ女性に対する企業の門戸は男性に対するそれよりも、狭い。

 

 企業のここをチェック

 働きやすい会社を見極めるポイントは何か。専門家に聞いた。

 徳島労働局雇用環境・均等室の津森美紀室長は「『女性の活躍推進企業データベース』の情報も、ひとつの指標として参考になる」と話す。データベースは2016年から厚生労働省が運営し、現在約9000社がデータを公開している。採用者に占める女性の割合や平均勤続年数、育児休業取得率、月平均残業時間などが掲載されている。

 また、「会社に幅広い年齢層がいることはバランスの取れた雇用管理ができていて、人が辞めないことの表れ。こうした会社も働きやすいはずだ」と話す。

 キャリアコンサルタントの山野明美さんは「くるみんマークなどを取得し、ワークライフバランスの重視を明示している会社、説明会でマイナス面もきちんと話せる会社がいい」と話す。加えて、「LGBT(性的少数者)への配慮も大切な指標です」。基本的人権を尊重する組織かどうかが分かる。

 女性の活躍推進企業データベースは、「女性活躍」「データベース」のキーワードでウェブを検索。