5月16日、「政治分野における男女共同参画推進法」が成立しました。政党などに男女の候補者数が均等となるよう努力義務を課す理念法です。女性議員の割合が世界でも最低レベルの日本。この法律を、私たちはどう生かしていけばいいのでしょうか。推進法成立に向けて活動をしてきた赤松良子・クオータ制を推進する会代表に話を聞きました。

 ―赤松さんは1999年に政治を目指す女性を後押しする団体「WIN WIN」を設立した。2012年には「クオータ制を推進する会」を結成。超党派の議連の立ち上げを求め、実現させるなど6年間の活動を経て、「候補者男女均等法」とも呼ばれる推進法の成立にこぎ着けた。33年前には、旧労働省の婦人局長として、男女雇用機会均等法を成立に導いてもいる。

 これで、「均等法」と名が付く法律が二つできました。いずれも制定時には強制力はありません。しかし、こうした法律はあるのとないのとでは大違いです。まず、この法律ができたという意味を、かみ締める必要がある。

 強制力を伴わない「努力義務」ばかりということで、最初は大きな批判を受けた雇用機会均等法ですが、2回、改正されました。改正で募集・採用、配置・昇進での差別は「禁止」されました。セクハラ防止のために事業主が必要な措置を取ることも義務付けられました。政治分野の「均等法」も、改正を重ねていけばいいのです。

 85年、日本は女性差別撤廃条約に批准しました。これが雇用機会均等法制定の後押しにもなった。それから、政治分野の均等法ができるまでに30年もかかってしまいました。その間、他国とは大きな差が生まれ、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数ランキングでは144カ国中114位(2017年)。

 (国連女性差別撤廃委員会に個人や団体が直接通報できることを盛り込んだ)女性差別撤廃条約の選択議定書は現在に至って、批准されていません。多くの女性が望む選択的夫婦別姓もいまだに実現しない。嘆かわしいですよ。

 政治の場に女性が少ないことに起因します。だから、やっぱり女性は増やさないといけないと思うのです。
  
 ―法案の骨子は、15年に超党派議連(会長=中川正春元文部科学相)がまとめた。翌16年、候補者の男女数を「できる限り同数」にするという表現に、自民党の保守系議員らが反発。「できる限り均等」と表現を変えることで、与野党の合意に至った経緯がある。

 「男女平等」という言葉を嫌う人は昔からいるんですね。男女「同数」も反発され、結局「均等」という表現で落ち着きました。でも、意味は「同数」と変わりません。

 フランスでは「パリテ」(「同数」を意味するフランス語)と言って、候補者の男女同数を法律で義務付けています。「均等」なら6対4なのでしょうか。そうではなく、やはり5対5なんですね。でも今は1対9。若い人が1を3に4にと5に近づけていけばいいんです。

 選挙制度のことも考えていかねばいけません。女性の候補者が立ちやすいのは比例代表制や、選挙区が大きく当選者が複数いる選挙制度。しかし、衆院では一選挙区から1人が当選する小選挙区の比重が大きい。小選挙区では、どうしても現職議員―多くの場合は男性―が強くなります。

 選挙制度の議論は難しいため、一般に浸透していかない。小選挙区で当選している現職議員には制度を変える動機がない。だから、女性の側が「こんな制度では女性議員が増えない」と問題意識をもち、声を上げる必要があります。

 ―国政だけでなく、地方議会でも女性議員の進出は遅れている。総務省の調査(2017年末現在)によると、全国の市区町村議会の議員に占める女性の割合は13%。県議会では10%だ。市川房枝記念会女性と政治センターの調査(15年)によると、全国の町村議会の34%は女性ゼロだ。

 地方議会では、まだ女性ゼロ議会が多い。ゼロはいけない。市や町で生活する人の半分以上は女性。その人たちに利害関係のあることを決めるのに、女性が一人もいないなんて、とっても不都合なことです。

 「女性は家庭、男性は政治」という性別役割分担意識が日本は強い。さらに地方となれば、それが強固に残る。女性議員がいる、いないという課題にとどまらず、この分担意識が問題。ここから変えていかねばなりません。

 クオータ制 候補者や議席の一定の割合を女性に割り当てる制度。実施を全政党に義務付ける「法律型」や政党が独自に実施する「政党型」がある。現在、何らかのクオータ制を導入する国は130カ国に上り、女性議員の比率上昇に貢献している。

 あかまつ・りょうこ 1929年生まれ。53年に旧労働省に入省し、85年に同省婦人局長として男女雇用機会均等法を成立に導く。在ウルグアイ大使や文部相を歴任。99年に女性の政治参画を後押しする一般財団法人「WIN WIN」、2012年に「クオータ制を推進する会」を発足させて代表に就く。