阿波踊りを検証する有識者会議の中間報告を遠藤市長㊨に提出する豊永委員長=25日、徳島市役所

 「できる限り早期に阿波おどり振興協会と協議の場を設ける必要がある」

 25日、徳島市の阿波踊りの課題を検証する有識者会議(豊永寛二委員長、6人)から、阿波おどり実行委員会の遠藤彰良委員長(市長)に提出された提言書の中間報告。この中に、今夏の踊りで演舞場外での「総踊り」を決行した振興協会との関係修復を求める内容が盛り込まれた。

 有識者会議で振興協会への対応が協議されたのは、21日の第4回会合だ。委員からは「重要なのは融和。責めるような文言を極力入れるべきではない」(福山優・公認会計士)「誰か第三者が間に入り双方の意見を聞く形でないと、現状を打開できない」(清水理・本家大名連連長)など、振興協会との関係改善を重視する意見が相次いだ。

 総踊りの決行後、4カ月が経過してなお話し合いが始まっていない背景には、実行委と振興協会との溝の深さがある。要因の一つが、遠藤市長と振興協会との政治的対立だ。

 振興協会は、遠藤市長が初当選した2016年市長選で、遠藤市長に敗れた前市長を支援。振興協会との関係が深かった市観光協会(破産手続き中)は、市が徳島地裁に申し立てた観光協会の破産手続きに対する意見書の中で、踊りを巡る混乱の発端として16年市長選の遺恨説を主張した。両者の対立は、総踊り中止を巡る混乱が起きる前から続いていた。

 さらに、振興協会顧問の岡孝治市議と、遠藤市長の関係は修復不可能とも思えるほど悪化している。両者のあつれきは、前市長時代の一般廃棄物処理業者への処分に関する問題で決定的となった。

 この問題では、遠藤市長が処分の決定過程を調べるために16年7月に設けた第三者調査団が「岡市議による不当な働き掛けがあった」と認定。与党会派の主導で市議会に百条委員会が設けられ、最終的に岡市議の問責決議が可決された。問題は法廷闘争に発展し、両者の間には強い不信感が渦巻く。

 振興協会は伝統的に、国政選挙や徳島市長選、県議選、徳島市議選などで特定の候補者を支援してきた。過去には振興協会の会長が、現職の徳島市議だった時期もある。振興協会の関係者は「政治家に阿波踊りの振興に協力してもらうための活動。法的に問題はない」と語る。

 遠藤市長は7月10日の記者会見で振興協会と政治の関係に触れ、「例えば衆院選の時に特定の候補を会合に招き、『振興協会は全面的に支援する』と幹部がおっしゃるなど、私もひやひやする。政治色が強いのはよくない。阿波踊りに関して敵は作ってほしくない」と持論を展開した。

 有識者会議から提言書の中間報告を受けた実行委は27日、来夏の阿波踊りで総踊りを行うことを決めた。振興協会の代表者を1月にも実行委に招き、総踊りも含めた阿波踊り全般への協力を依頼する。振興協会の山田実理事長も依頼に応じる考えで、両者の関係改善にようやく光明が差し始めた。

 多くの県民が願う阿波踊りの正常化。年明けにも始まる協議で、実行委と振興協会は、これまでのわだかまりや政治的対立を超えて建設的な話し合いを行うことが求められる。