JR四国の路線別収支状況によると、営業係数(100円の収入を得るためにかかる経費)は、全20線区のうち本州と四国を結ぶ本四備讃線(瀬戸大橋線)を除く19線区で赤字で、厳しい経営状況が改めて浮き彫りになった。

 営業係数は100を超えると赤字を意味する。2016年にJR北海道が路線ごとに公表し、注目された。その際、13線区が「当社単独では維持が困難」とされた。該当線区の係数は2213~324だった。

 営業係数が1658と四国内でもっとも悪かった牟岐線の牟岐―海部間(徳島県)をはじめ、多くの線区がその水準内にある。雪害対策に多額の費用がかかる北海道と違い、廃止を検討する状況には至っていないとされるが、大きく採算割れしている現状からは、維持に黄信号がともっていると言える。

 特に、牟岐―海部間は周辺の人口が少ない上に、海部から続く阿佐海岸鉄道も甲浦(高知県東洋町)止まりの「盲腸線」で、今後も明るい未来を見通すのは難しいのが現実だ。

 JR四国を巡る経営の不安要素はいくつかある。その代表格が、人口減少と災害リスクだ。

 四国運輸局は2017年5月、人口減少により、2040年の輸送人員はJR四国の路線全てで2015年実績に比べて12・6~36・8%減少するとの予測を示している。

 災害については、昨年の西日本豪雨以降、半井真司社長が復旧・防災への対応によるコスト増が経営に与える懸念を複数回、口にしている。JRが復旧を見送れば、沿線自治体や県はどうするのか。この検討も必要だ。

 JR四国は発足以来、鉄道事業で黒字になったことはない。今のところは国の支援措置などで最終損益は黒字を維持しているが、10~20年後の状況は不透明だ。時間の経過と共に赤字路線の廃止が現実味を帯びてくる。

 路線別収支の公表を機に、自治体、住民、JRが、地域の未来を見据えた本音の議論を深める時期が来ている。