CDでもストリーミングでもなくアプリ
レコードに取って代わったCDが長く独占していた音楽提供方法に、インターネットによるストリーミング配信が台頭したのが数年前のこと。そこへ新たに、楽曲をアプリにパッケージ化して配信する新サービスが登場し、注目を集め始めている。
ストリーミングは特定の曲やアルバムの全曲をダウンロードして再生するだけだが、パッケージ型アプリと呼ばれるこのサービスだと、後からライブ音源や未発表曲、映像を追加できるほか、ブックレットで歌詞も提供できる。ファンクラブ型アプリもあり、曲以外にファン限定の情報を随時プッシュ通知で届けられる。さらに、GPS機能を使ったライブ会場など地域限定、期間を限った配信も可能だ。
KIGEKIを設立したのは徳島出身の2人
このサービスを展開しているのがウェブ・映像制作会社「KIGEKI(キゲキ)」。阿波踊りで有名な東京・高円寺に本社を置く同社を立ち上げたのは徳島市出身の2人だ。
代表取締役の角元総一郎さん(38)は上八万町、取締役の本田雅英さん(38)は論田町出身。2人は城南高校の同級生で、別々の大学を卒業後、角元さんはウェブ関係、本田さんは映像関係の仕事に就いていた。
2012年、角元さんは徳島の実家で父親が経営する音響開発会社「サウンドサイエンス」から技術提供を受け、音質調整アプリを作ったことをきっかけに、音楽コンテンツに関する仕事に興味を持ち、高校卒業後も親交のあった本田さんを誘ってKIGEKIを立ち上げた。
現在は近いミュージシャンやバンドが同社のアプリで楽曲配信している。中には、iTunesジャズチャートで1位を獲得したことのある「H ZETTRIO」といった注目アーティストも。同社は、今夏からタイなど東南アジアのミュージシャンの曲のアプリ配信に取り組む予定で、角元さんは「何かを始めるワクワク感は、大人になった今でも子どものときと同じ感覚」と語る。
徳島には3年ほど帰っていないが、徳島との繋がりを聞くと、本田さんが手がけた短編映画「恐竜いらない」が2016年の徳島国際短編映画祭で上映されたことを挙げた。また、古里について角元さんは「星河内(徳島市上八万町)で農家をしている同級生の美味しいシイタケもそうですが、徳島にしかないコンテンツはたくさんあるので、もっと発信してもらいたい。機会があれば自分も一緒にチャレンジしたい」と語った。
<KIGEKIのホームページはこちらから>