細菌性髄膜炎は子どもの中枢神経系感染症の代表的な疾患です。細菌が血液中または隣接臓器から頭蓋腔内に侵入すると感染を起こして様々な症状をもたらします。乳幼児に多く、適切な診断と治療がなされなければ生命に関わる病気であり、治った後に中枢神経系の後遺症を残す可能性があります。今月は細菌性髄膜炎について考えてみました。

 細菌性髄膜炎の発生は血液中に侵入した細菌や、中耳炎や副鼻腔炎などの隣接臓器から感染細菌が髄膜腔内に侵入することによって発生します。髄膜腔内は本来無菌状態ですから細菌に対する抵抗力の弱い所です。ここに細菌が侵入して感染すると急激に悪化する可能性があります。

 髄膜炎では髄膜の炎症に加えて、炎症によって生じたサイトカインと云う物質によって血管拡張、細胞浸潤、浮腫などが生じ、髄膜の知覚神経が直接刺激を受け、髄膜刺激症状と呼ばれる頭痛や嘔吐が生じます。炎症が増強すると脳浮腫が起こり、脳圧亢進症状による意識障害を来します。脳圧亢進が進行すると脳ヘルニアを起こし、延髄の圧迫による死に至ります。髄膜の炎症が脳実質に及ぶと脳灰白質の刺激によってけいれんが発生します。

 しかし、子どもの髄膜炎の症状は食欲不振、哺乳困難、頭痛や上気道炎などの非特異的な症状が多く、発熱や嘔吐なども見られますが、髄膜炎に特異的なものはありません。乳幼児では「何かが何時もと違う」という母親の直感が診断のきっかけになることがあります。

 子どもの発熱では常に髄膜炎など重症細菌感染症の存在を考えておくことが大切です。