イランと米国の対立が先鋭化している。

 イラン核合意から離脱し経済制裁を再発動したトランプ大統領は、先の一般教書演説でイランに対して強硬姿勢を維持する考えを示した。

 イランでは11日、親米の独裁王制を崩壊させたイスラム革命から40年を迎え、多くの市民が声高に米国への抵抗を訴えた。

 イラン経済は悪化の一途をたどっている。一方で、軍事面を強化し周辺国への覇権を拡大させている。とりわけ、イスラエルとのあつれきは激しさを増しており、米国を巻き込んだ本格的な衝突の懸念が現実味を帯び始めている。

 今のところ、イランは核合意にとどまっているが、経済的に追い詰められれば離脱しかねない。そうなれば中東情勢は一気に緊迫化しよう。国際社会はイランを孤立させないよう支援してもらいたい。

 イランは革命後、中東イスラム諸国への「革命の輸出」を掲げ、抑圧に苦しむシーア派の支援と決起を訴えた。

 その影響力は内戦下のシリアやイエメン、レバノンなどに浸透。イランを敵視する親米のイスラエルやサウジアラビアとの対立を招いている。

 中でも、深刻なのがシリア情勢だ。イランが軍事面でアサド政権を支援したことで、同政権は内戦での優位を固めた。その結果、イランの存在感が格段に増したという。

 現状に危機感を募らせるイスラエルは、シリア領内のイランの拠点を繰り返し空爆しており、一触即発の状況だ。

 米政府は14日、ポーランドの首都ワルシャワで、中東の平和と安定について話し合う閣僚級の国際会議を開いた。イラン包囲網を構築し、孤立化させる狙いだ。

 しかし、イラン核合意維持を目指すドイツやフランス、欧州連合(EU)は外相を派遣せず、ロシアも代表団を出さなかった。米国に対する欧州側の不信の根強さが浮き彫りになった形だ。

 米国の制裁再発動により、多くの欧州企業がイラン事業の凍結を余儀なくされた。このため、独仏と英国は1月、制裁を迂回(うかい)し貿易を続けるための新組織を設置、対抗する構えを強めている。

 イラン経済が窮地に陥れば欧州にも影響が波及する恐れがある。このため、主要国は米国と一線を画しているのだ。米政権は、強圧的な態度で対立をあおり政策転換を迫る外交姿勢を改めるべきだ。

 とはいえ、弾道ミサイルの開発や他国の「テロ組織」への支援を続けるイランの戦略も到底、容認できるものではない。EUも、イランが軍事、財政支援を通じて中東の緊張激化に関わっていると懸念を表明している。

 日本はイランとの関係が深く、今年で国交樹立90年になる。原油の輸入などで経済的な結びつきも強いだけに、主要国と連携し、中東混迷の要因となっている米国とイランの対立解消へ、積極的に関与する必要がある。