山の大きな岩の上で四方を見渡すように鎮座する石仏の仏像群=勝浦町三渓

 勝浦町三渓の山中に石仏を積み上げた場所があり、珍しい光景を見ることができる。大きな岩の上に、何体もの石仏が円すい状に段を重ねており、山のようになっている。この石仏群を、地元の人は親しみを込めて「仏石(ほとけいし)」と呼ぶ。

 滝を裏側から見ることができる「裏見の滝」や木に彫られた不動像がある星谷寺から、約2キロ離れた地点にある。現在は付近まで車道が通っているが、かつては山道を1時間近く歩かなければならなかった。

 何度か訪れているが、いつ行っても不思議な気持ちにさせられる。ひっそりとした山中に、なぜこのような形で石仏が置かれたのか。謎めいた気持ちが湧き起こり、疑問が晴れないまま後にする。

 近くにある解説板によると、弘法大師がこの場所を訪ねた際に見たという仏教の世界観「両界(りょうかい)曼荼羅(まんだら)」を表現しているとされ、信仰の対象にしたようだ。いつ造られたかは分からない。

 眺めていると、石仏は円形に並んでいるため視線が全方向に行き渡っているのに気付く。全ての地域と人々が安泰と幸福に包まれるよう、住民が願ってこの形になったのではないだろうかと推測している。