人形浄瑠璃・阿波踊り 伝統文化との共演喜び
 世界的なジャズピアニストの山下洋輔さん(75)が日に那賀町拝宮の拝宮農村舞台、日に阿南市文化会館夢ホールでライブを行う。人形浄瑠璃、阿波踊りといった徳島の伝統文化との初共演も見どころとなる今回の公演に向けた思いを聞いた。
 (聞き手=東京支社・伊藤典文)
「徳島の伝統文化とのコラボレーションを楽しみにしている」と語る山下さん=東京・吉祥寺のピアノスタジオ
 ―那賀町では人形浄瑠璃公演が行われる野外の農村舞台で演奏し、人形遣いの勘緑さん=三好市出身=や地元の阿波踊り連・眉月連とのセッションもある。
 どんな場所にピアノが置かれても弾ける楽しみに変わりはない。神秘的で伝統があり、よそ者には推し量れない素晴らしい文化が脈々と続いている場所だと聞いている。そこで一緒に演奏できる喜びは非常に大きい。阿波踊りは、浮かれて飛び入りしてしまうかもしれない。
 ―世界で活躍する山下さんが徳島の伝統文化と共演することで情報発信につながり、他のアーティストが徳島で公演するきっかけになることも期待される。
 そもそもジャズは民族音楽と西洋音楽が不思議な形で融合して生まれた。民族特有の文化がどう受け継がれ、何と交わり、何を産んでいくのかに非常に興味があり、そういうものに触れる絶好のチャンスと捉えている。今回の演奏に結果としてそういうもの(情報発信や他のアーティストに影響を与えること)がついてくれば、私のほうこそありがたい。
 ―「ジャズ&クラシック」と銘打たれた夢ホールでのコンサートでは、「ラプソディー・イン・ブルー」や「ボレロ」など数々の名曲のほか、ひじで鍵盤を鳴らす独自のパフォーマンスを楽しみにしているファンもいる。
 常に自分の表現を全うしたいと思っている。温かく迎えてください。
 ―徳島のファンにメッセージを。
 初対面というのはいつもどきどき、わくわくしますよね。その気持ちをそのまま音楽に込めます。一緒に楽しみましょう。
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 拝宮農村舞台での演奏は28日午後1時から(無料)。阿南市文化会館夢ホールでの公演は29日午後7時開演チケットは完売)