「若年女性の性被害に目を向けて」と訴える遠藤事務局長=徳島市のヒューマンわーくぴあ徳島
LINEなどで相談できる「よりそいチャット」のウェブサイト

 性暴力やセクハラの問題を考えるイベント「女性がつながって創る、性暴力のない社会」が11日、徳島市のヒューマンわーくぴあ徳島で開かれた。全国キャンペーン「#MeTooあなたはひとりじゃない」の一環で、徳島実行委の主催。約50人が、女性支援に携わる人たちによる講演やパネルトークに耳を傾けた。その中から、「全国よりそいホットライン」の遠藤智子事務局長による報告「相談から見える、性被害の実態と支援の現在」の要旨を紹介する。

 ホットラインは2011年、厚生労働省の補助金を受けてスタートした。あらゆる相談を24時間365日受け付けていて、1日3万本の電話がかかってくる。電話が主たるコミュニケーションツールになっている40代からの相談が中心。17年度は、DVなどに悩む女性向けの回線に55万件の電話がかかり、加えて若年女性から1万5千件の電話が寄せられた。女性相談者の4・4人に1人が性暴力の被害に遭っている。性暴力の相談のうち5割をレイプ、家庭内での性的虐待が占める。

 レイプ被害は若年女性に集中している。内閣府による「男女間暴力調査 17年度版」では、レイプ被害女性に被害に遭った時期を尋ねると、52・5%は20代、39%は19歳までと回答している。研究者の内山絢子さん(元目白大教授)の研究では、加害者は「おとなしそう」「届け出ないだろう」という理由でターゲットを選ぶ傾向が分かっている。

 つまり、ものを知らず、弁護士らにつながる人脈もない若年層が狙われているのではないか。「娘なら届け出ないはず」と家庭内の性的虐待も起きているのではないか。しかし、被害のただ中にある彼女たちは、電話相談にはかけてこない。

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 SNS(LINE)で相談を受ける「よりそいチャット」も手掛けている。

 神奈川県座間市の事件(18年)では、SNSに「自殺したい」などと書き込んだ女性ら9人が被告の自宅に誘い込まれ、殺害された。SNSでの相談業務はこの事件を受けて始めたが、スタートして分かったのは、電話相談ができない人たちがたくさんいるということ。

 10、20代は固定電話の番号を持っていない。格安スマホを使い、携帯の電話番号自体がない子もいる。彼女たちにとっては音声通話よりも、テキスト(文字)によるコミュニケーションが日常になっている。

 電話相談は40代が主だが、SNS相談では約6割が10、20代。相談者の10人に1人以上が性暴力に遭っている。特に18、19歳の性被害相談の割合が大きい。電話相談では出てこない若年層の性被害が、SNS相談を通じて表面化した。

 加害者がターゲットにする、最たる層が(自身の)子どもではないのか、というのが私の仮説。11年からこの仕事をしてきて、毎年相談票を3千枚から4千枚読んでいる。一昨年ぐらいから性的虐待の様相が変わってきていて、何かの底が抜けた感じがある。

 親から子どもへの性的虐待は、被害を口にすることができない状態に追いやられている場合が多い。被害を忘れたくて、性行動を重ねることもある。そうすると被害が見えにくくなる。

 また、インターネット上では性が金銭や1泊、1食と等価交換であるかのように見せられている。Twitterでは「私は家出した女子高生」「(性交は)3000円で」と投稿する女子学生がいる。一方で「泊めてあげる」と彼女たちにメッセージを送ったり、Twitterに書き込んだりする男性がいる。10代の人たちは、これが性被害であると認識していないのではないか。それは一体誰のせいか。彼女たちのせいではない。

 こういう状況の中、10代の性被害が激烈に増えているのではないかと私は見ている。日本には実質的に性教育がなく、こうした若年層を放置しているのが現状だ。

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 14年に190人を対象に、被害から相談までの期間を調べると、平均で15年。20年、30年と語れない被害を抱え込む人も多い。電話相談にかけてくるのは、語れるようになった人たちだ。

 今、(性被害を告発する)#MeToo運動はある。しかし、若年者は語らない。支援者のほとんどはSNSを使わないけれど、その中で生息している女の子たちがたくさんいる。私たち(支援者)の手は、そこに届いていない。届かせたい。

 今、性的虐待や若年者の性被害に注目し、それをなくしていこうとしなければ、日本社会の屋台骨は壊れたままになると思う。

 よりそいホットライン 一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営。女性のほか、被災者、性的少数者ら特別な配慮が必要な人向けの専用回線がある。英語、中国語、ベトナム語など外国語による相談もできる。<フリーダイヤル(0120)279338>。