歌手の沢知恵さんは、ハンセン病の元患者の支援を長く続けていることで知られる。過日、徳島市の児童養護施設「徳島児童ホーム」でこぢんまりとしたコンサートを開いた。ホームの子ども47人、近くの施設の高齢者も招待されて、聴衆の年齢は4歳~103歳。さあ、どうする

 アメージング・グレースのしっとりとした歌声で会場の心をつかんだ後は、さすが。リズミカルな自作曲、おどけた調子で童謡を。たちまち、歌う者と聞く者が混然一体となった空間をつくりあげてしまった

 曲の合間には詩人、塔和子さんとの思い出を手掛かりに、ハンセン病患者が背負わされた苦難の歴史を、具体的に分かりやすく語った

 ホーム園長の山﨑健二さんは、児童福祉に携わって39年になる。入所してくる子どもの状態は年々悪くなっているそうだ。家庭内暴力で心身に傷を負った子も増えている。コンサートを楽しんだのは、そうした子どもたちである

 最後の曲、促されもしないのに大声で歌い出した。聞きながら、一人一人の表情を目で追った。浮かんでくる物語に、ぎゅっと胸が締め付けられた。曲は「手のひらを太陽に」

 <ぼくらはみんな生きている/生きているから歌うんだ/ぼくらはみんな生きている/生きているからかなしいんだ/笑うんだ 愛するんだ>。みんな、負けるな。