縄文時代後期の地層から出土した祭祀に使っていたとみられる円形配石遺構=阿南市加茂町の加茂宮ノ前遺跡

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 徳島県阿南市加茂町の加茂宮ノ前遺跡で、古代の祭祀などに使われた赤色顔料「水銀朱」を生産したとみられる縄文時代後期(約4千~3千年前)の石臼や石きね300点以上や、水銀朱の原料の辰砂原石が大量に出土した。水銀朱に関連した遺物の出土量としては国内最多。生産拠点として国内最大、最古級だったことが明らかになった。県教委と県埋蔵文化財センターが18日、発表した。
 

 石臼の大きいものは直径約30センチ、石きねは同約10センチ。生産した水銀朱を貯める土器、表面に水銀朱を塗った土器の破片や耳飾りが多く見つかり、関連した遺物の出土数は1000点に上った。水銀朱生産の一大拠点とされる三重県度会町の森添遺跡などでも縄文後期の石臼や石きねが見つかっているが、数十点にとどまる。

 調査面積は約1万平方メートル。祭祀に使っていたとみられる石を円形に並べた遺構14基や住居跡2基も見つかった。縄文後期の居住域と祭祀の遺構がまとまって確認できたのは西日本で初めて。

 センターによると、辰砂原石は約5キロ離れた若杉山周辺から採取された可能性が高いとみられる。土器の模様には九州の土器に類似した特徴があり、「当時から地域交流をしていたことがうかがえる」としている。

 県教委などは2016年度から加茂宮ノ前遺跡を調査しており、弥生時代中期末-後期初頭(約2千年前)の層から、鉄器や水銀朱の生産拠点とみられる集落跡を確認。今回の発見で水銀朱の生産、利用時期は約1500年以上さかのぼることが明らかになった。

 県教委教育文化課は「調査研究を進めて広く展示公開し、徳島の歴史や文化財に興味を持ってもらえるような取り組みを進めたい」としている。

 現地説明会は23日午前10~11時半、午後1~2時半の2回。6月11日から板野町の県埋蔵文化財センターで速報展を開く。問い合わせはセンター<電088(672)4545>。