第1次大戦中に鳴門市大麻町にあった板東俘虜(ふりょ)収容所を舞台にした映画「バルトの楽園」(2006年)で捕虜のドイツ軍総督役を演じたスイスの俳優ブルーノ・ガンツさんが2019年2月16日、チューリヒの自宅で死去した。77歳だった。

 「ベルリン・天使の詩」(1987年)や「ヒトラー~最期の12日間~」(2004年)などに出演ドイツ語圏を代表する俳優として活躍していたガンツさんは、2005年12月、バルトの楽園の撮影のため鳴門市を訪れ、大麻町に設けられたオープンセットで撮影に臨んだ。ロケ中に行ったインタビューを再掲する。

バルトの楽園の露見のため鳴門市を訪れたブルーノ・ガンツさん=2005年12月


ガンツさんインタビュー(2006年1月1日付徳島新聞掲載)

 映画「ヒトラー-最期の12日間」でヒトラー役を演じたスイスの名優ブルーノ・ガンツさんが2005年12月、鳴門市大麻町のオープンセットを撮影のため訪れた。ロケ現場では、共演した松平健さんが「存在感があって、見とれてしまった」と言うほど独特の雰囲気を漂わせた。日本映画初出演のガンツさんにオープンセットの感想などを聞いた。

ブルーノ・ガンツさん=2005年12月、鳴門市大麻町

 -第一次世界大戦中の板東俘虜収容所を再現したオープンセットの印象は。

 非常に気に入っている。(約90年前の)実際の収容所がどういう物だったかは知らないが、セットは几帳面(きちょうめん)にできている。映画づくりにかかわる人たちの本気さが伝わってくる。兵舎などの建物を見ていると、当時のドイツ兵捕虜の気持ちが分かるような気がする。

 -日本映画の撮影に初めて参加した感想は。

 出目昌伸監督が撮影した過去の映画を見るなどして出演することを決めた。これまでの撮影スタイルとは違う感じを受けているが、監督や国によって異なるのは当然。不思議な気持ちだが、気に入ったやり方ではある。松平さんも協力してくれて感謝している。

 -ドイツでの上映も計画されているが。

 ドイツ国内では第一次世界大戦のことはあまり知られていない。この映画を機に興味を持つかもしれない。

バルトの楽園の撮影で松平健さん(左から3人目)と握手するブルーノ・ガンツさん=2005年12月鳴門市大麻町のロケセット

 

※映画「バルトの楽園」でガンツさんが演じたのは、中国・青島のドイツ軍総督クルト・ハインリッヒ。ドイツ軍の極東本拠地の中国・青島の総督(少将)で旧日本軍に攻撃され、捕虜となって板東俘虜収容所に送られる。収容所のドイツ兵捕虜たちの心の支えになっている。ドイツの敗戦が知らされて自殺を図る。

 ブルーノ・ガンツ 1941、スイス・チューリヒ生まれ。日本でもヒットした「ベルリン・天使の詩」(1987年)で主人公の天使を演じたことで世界的に名前を知られるようになった。ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの最期を描いた「ヒトラー~最期の12日間~」(2004年)でヒトラーを演じ、高い評価を受けた。「ハイジ アルプスの物語」(15年)では頑固なアルムおんじ役を務めた。2019年2月14日死去