4月7日に投開票される徳島県知事選は告示まで1カ月に迫った。

 立候補を表明しているのは5選を狙う現職の飯泉嘉門氏と、自民党県連副幹事長で元県議の岸本泰治氏、共産党阿南地区副委員長で元小松島市議の天羽篤氏である。

 人口減少に歯止めがかからず、高齢化が進む中、誰もが安心して暮らせる徳島をいかに築いていくのか。県政のかじを取る知事の責任は重い。

 選挙に臨む各氏は、目指すべき将来ビジョンを示すとともに、実現への処方箋を明確に打ち出してほしい。私たち県民は訴えに耳を傾け、じっくりと見定めていきたい。

 今回の知事選には二つの特徴がある。

 一つは、多選の是非が問われることだ。戦後、本県の知事が5期務めた例はない。

 予算や人事などで強い権限を持つ首長の多選は、行政の硬直化や権力集中による腐敗、議会とのなれ合いなどの弊害を招くとされている。

 十分なチェックがないまま、飯泉氏の知人に多額の金が渡った「とくしま記念オーケストラ事業」を巡る問題は、その表れとも言えよう。

 飯泉氏は「全国でも5期以上の知事はいる」「原点に返って反省すべき点は反省し、チャレンジャーとして戦い抜く」と述べている。県民はどう判断するのか。

 もう一つは、保守の分裂である。自民党県連が飯泉氏を推薦した一方、同氏に批判的な後藤田正純衆院議員が岸本氏支持を明らかにした。

 飯泉氏は2007年の2期目以降、3回連続で共産候補との一騎打ちで当選してきた。本県知事選で保守勢力が割れるのは、現職と元徳島市長が争った1985年以来のことだ。分裂の影響がどう出るのか注目される。

 政策で飯泉氏が重点的に取り組むとしているのは、人口減少対策と防災対策である。

 県は、転出超過を2020年までにゼロにする目標を掲げている。総務省の人口移動報告では、18年の本県の転出超過は2531人に上り、達成は厳しい状況だ。県人口は20年連続で減っている。

 自治体の努力だけでは限界があるのは確かだが、これまでの施策が奏功していないのも事実だ。福祉や経済などの面でも、県民はどれほど飯泉県政の成果を実感できているのだろうか。知事選では4期16年の実績が問われる。

 岸本氏は「成果が全く上がっていない」と飯泉氏を批判し、多選禁止条例の制定や道路インフラの早期完成、阿波踊りを中心とした文化・観光の振興などを掲げる。

 天羽氏も「全く県民の方を向いていない」と切り捨て、記念オケの疑惑解明や国民健康保険料の引き下げ、児童虐待対策の強化などを訴えて戦う構えだ。

 3氏とも公約作りを進めている。求められるのは、聞こえがいい言葉を並べることではなく、徳島を良くする具体的な方策である。