そろいの着物と編み笠で阿波踊りを楽しむ女性=1933年ごろ撮影(県立文書館提供)
凱旋兵士を出迎える兵士でにぎわう徳島駅前=1933年ごろ撮影(県立文書館提供)

 1933(昭和8)年ごろに徳島県内で撮影された阿波踊りなどの動画が見つかった。当時、羽ノ浦町(現阿南市)でバス会社を経営していた故高山武一さん=阿南市羽ノ浦町古庄=が16ミリフィルムで撮影していた。家庭用カメラが国内に輸入されてから日が浅い時期で、戦前の徳島を映した動画は極めて珍しい。徳島市の県立文書館で開催中の企画展「新収蔵の古写真 ふりかえる昭和の徳島」(4月21日まで)で公開されている。

 映像は白黒の無声で約14分。現在の阿南市で撮影されたとみられる場面が中心。横須海水浴場(小松島市)の様子や那賀川橋で遊ぶ子どもたち、岩脇小学校(阿南市)の運動会など25シーンで構成されている。

 阿波踊りの撮影場所は不明だが、シンバルのような楽器や尺八も鳴り物に使い、軽快に踊る姿が収められている。満州事変など戦時色の濃い世相を反映し、凱旋兵士が集う徳島駅前や出征兵士を見送る古庄駅前(阿南市)の光景もある。34年の室戸台風が通過した直後の映像には、倒壊した家屋や横倒しになった列車、増水した那賀川などが確認できる。

 高山さんの親戚で、文書館職員の岩崎麻美さん(63)=阿南市羽ノ浦町岩脇=が提供した。岩崎さんの祖父母らを映した様子が多く含まれていたため、20年ほど前に高山さんの長男武巳さん(故人)からビデオを受け取っていた。昨年10月に企画展に備えて内容を確認したところ、貴重な映像と判明。DVD化し、企画展で上映されることになった。

 文書館が収蔵する動画で最も古いものは、48年ごろに連合国軍総司令部(GHQ)が作った教育映画。徳島の風景を映した動画は昭和40年代以降になる。

 岩崎さんは「家族の映像なので価値があるとは考えなかったが、よく残っていたと思う」。文書館の金原祐樹課長補佐は「戦前の徳島の動く映像を見たのは初めて。当時の徳島の様子を伝える貴重な資料だ。これを機会に古い動画が見つかるとうれしい」と話している。