2015年度の一日平均乗降客数が1人に届かなかった鯖瀬駅=海陽町浅川

人口減で乗客数先細り

 

 1987年4月の国鉄の分割民営化で、JR四国が発足して30年が経過した。高速道路網の整備に人口減少が重なり、経営環境は厳しさを増している。18日には、将来の路線維持などについて話し合う懇談会が高松市で始まる。四国の鉄路はどこに向かうのか。課題を検証する。

 

 海陽町の鯖瀬駅は2015年度、一日の平均乗降客数が0人だった。JR四国によると、同駅からの乗車券を購入した客数を365で割ると1に届かなかったという。16年度は少し増えて2人になったものの、徒歩でしか訪れることができず、秘境駅として知られる土讃線の坪尻駅と並んで徳島県内では最も少ない。

 四国別格霊場・鯖大師本坊の最寄り駅だが、国道がすぐ横を通り、参拝者や周辺住民は主にマイカーやバスを利用しているとみられる。

 鯖瀬駅のある牟岐線の牟岐—海部間は、JR四国の全20線区の中で最も利用者が少ない。1キロ当たりの一日平均旅客輸送人員は248人で、予土線の333人、予讃線の向井原—伊予大洲間457人と続く。仮に廃線などが検討される場合、候補に挙がってもおかしくない。

 海陽町まち・みらい課の戎谷悟課長は「これから少子高齢化が進み、交通弱者が増えるので鉄道がなくなると困る。県などと協力し利用促進を図りたい」と危機感を募らせる。

 昨年11月、JR北海道は半数の路線が単独では維持困難と発表した。同じように厳しい経営環境にあるJR四国だが、今のところ廃線は検討していない。北海道には冬の雪対策に毎年、巨額の費用を要する事情があるが、それと比べると、四国は路線の維持費が安いためだ。

 それでも、将来の人口減少は重くのしかかってくる。国勢調査によると、四国の2015年の人口は385万人。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、40年には300万人を割り込む。

 四国運輸局が5月に公表した路線別の需要見通しでは、40年にはJR四国の9路線全てで輸送人員が落ち込み、全体では約17%の1千万人を超す減少幅になると予測されている。沿線の人口減に伴う本業の先細りは避けられない状況だ。

 経営状況は現時点でも厳しい。16年度連結決算は26億円の純利益を計上するなど、単年度の決算は黒字化しているが、これは国の支援措置で購入した債券の利息収入(年35億円)などで帳尻を合わせているためだ。民営化以来、鉄道事業が黒字になったことは一度もない。