元富田小学校長で児童文学作家の原田一美(はらだ・かずみ)さんが1日午前8時45分、肺がんのため吉野川市内の病院で死去した。89歳。自宅は吉野川市山川町川東98の1。通夜は2日午後6時から自宅で、葬儀・告別式は3日午前10時半から吉野川市山川町前川233の3のセレモニーヤマセで。喪主は孫昌一郎(しょういちろう)氏。

 吉野川市山川町出身。徳島師範学校本科卒業。県内の小中学校で教師を務め、1987年富田小学校長を最後に退職した。60年代に教師として赴任していた吉野川市美郷の中枝小学校で児童と取り組んだホタル研究を題材にしたノンフィクション「ホタルの歌」で、第1回学研児童ノンフィクション文学賞を受賞した。

 このほか、「青い目の人形-海を渡った親善人形と戦争の物語」「十六地蔵物語」「モラエスと小坊さん」「烏雲物語」など、郷土に関わるテーマを掘り下げた作品で知られる。

 作品をモチーフにした邦楽曲を徳島市出身の作曲家故・三木稔さんらが作曲、徳島邦楽集団の演奏で親しまれている。

 徳島新聞夕刊での連載(95年)を改題、加筆した「虎先生がやってきた」が野間児童文芸賞の候補に挙がったほか、石森延男児童文学賞、県出版文化賞などを受賞している。