海野十三の会会長で徳島ペンクラブ顧問の山下博之(やました・ひろゆき)さんが2日午後7時9分、大動脈瘤解離のため徳島市川内町富吉55の40の自宅で死去した。84歳。通夜は4日午後6時から、告別式は5日午前11時から、いずれも徳島市川内町沖島のあおいホール川内で。喪主は長男弘雄(ひろお)氏。
早稲田大第一文学部卒業。徳島新聞記者や雑誌編集を経て高校の国語教師、阿南工業高校長を務めた。1990年に文化の森へ移転オープンした県立図書館の初代館長。四国大で国文学史などを教え2008年、顧問教授を最後に退職した。
高校教師の頃から徳島ペンクラブで活動。07年から6年間会長を務め、三好市出身の小説家にちなむ富士正晴全国同人雑誌賞の創設にも携わった。
阿波人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」に登場する「阿波の十郎兵衛」や、徳島市出身のSF小説作家海野十三(1897~1949年)を研究。92年に発足した「海野十三の会」の会長として文学碑の建立や企画展など海野の再評価に尽力した。
作家、研究者として郷土に関わるテーマを掘り下げ、昨年度の県文化賞に選ばれたほか、99年には「私本阿波の十郎兵衛~史実と虚構のはざまから~」で県文化協会出版文化賞。2008年県知事表彰、11年に地域文化功労者文部科学大臣表彰を受けている。