香美祥二さん

 年間の外来患者は約46万人、入院患者は約22万人。県内最大の医療機関、徳島大学病院のトップに4月から就任する。「患者ファーストを徹底するとともに、がんや難病といった重症患者の治療に当たる特定機能病院として期待に応えたい」と気を引き締める。

 板野町生まれ。幼少期、けがをしたり熱を出したりした時に症状を和らげてくれる医師に憧れた。徳島大医学部の学生だった40年前、小児科医不足が深刻なのを知り「幼い命を救いたい」と小児科医の道を選んだ。

 現場に出て厳しい現実に直面した。当時は腎炎やネフローゼ症候群といった腎臓疾患に効果的な治療法がなく、毎年のように幼い患者が命を落とした。

 「治療法を見つけなければ」。悔しさをばねに、診察の傍ら腎臓疾患治療の研究に打ち込み、レニン・アンジオテンシン系というホルモンが腎疾患の進行に関係していることを突き止めた。研究成果は新たな治療法の開発につながり、多くの幼い命を救えるようになった。

 大学病院は常に最先端医療の提供が求められる。2018年度から、がん患者の遺伝子を調べて治療法を選ぶ「がんゲノム医療」を始めた。将来は人工知能(AI)による診断支援などを取り入れる考えだ。

 趣味は旅行。多忙な合間を縫って年1回は京都などに出掛ける。日頃、医療現場で命と向き合っているだけに「歴史ある神社仏閣を見ていると悠久の時間が感じられ、心が安らぐ」。長女は独立し、徳島市の自宅で妻と2人暮らし。64歳。