本紙2日付夕刊の「ちょっとええ話」のコーナーに目を通していて、何だかうれしくなって、この原稿を書き始めた。「古代のロマンに」と題した一文に出てくる「邪馬台国は『朱の王国』だった」(文春新書)。それ、読んだ、読んだ

 ただ、それだけ?と言われたら、それだけである。ただ、筆者の「あっくん」、母親を24時間介護する身で、読書する暇はほとんどないのだそう。母の状態が比較的安定している時に、あれこれと古代のロマンにふけってみるのだそうだ

 阿南市の若杉山遺跡は、朱の原料となる辰砂の採掘跡である。市と県教委が、国内最古とみられる弥生時代後期の坑道を確認した、と発表した。地上に露出した辰砂を集めたのではなく、山肌を掘り進めた本格的な鉱山だ

 この遺跡も登場する「朱の王国」自体は、仮説に満ちた内容である。しかし、古代の日本で朱が重きをなしたというのは常識だ。粗末な道具で懸命に横穴を掘る、弥生人の姿が頭をよぎった

 「あっくん」は記事に何を思いました? 邪馬台国は朱の産地だったとする魏志倭人伝の記述「其山丹有」あたりですか。会ったこともない人が、同じ記事をどう読んだのか、想像してみると楽しい

 邪馬台国は阿波だったとは考えていない当方も、朱に彩られた卑弥呼の横顔を思い浮かべたりもしましたよ。