日本郵政と金融子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を合わせた郵政グループ3社が、今年秋にも東京証券取引所に同時上場する。

 小泉政権が郵政民営化法を成立させた2005年から曲折を経て、民営化の構想は最終段階を迎えた。

 上場時の時価総額は、過去最大だった1998年のNTTドコモの約8兆8千億円に迫る可能性がある。超大型銘柄の登場に、市場の関心も高まっている。

 日本郵政の西室泰三社長は「経営の自由度を確保することや、自立的な経営体制を確立する必要性がある」と狙いを説明した。

 しかし、上場後の郵政グループの将来像が明確でないなど、課題は少なくない。

 民間企業としてサービスを向上させるのはもちろん、市場の期待に応えるためにも、収益力強化に向けた成長戦略を示す必要がある。

 現在、日本郵政の株式は政府が、金融2社と郵便事業を行う日本郵便の株式は日本郵政が、それぞれ100%保有している。

 金融2社の上場に関しては、郵政民営化法で全株の売却が義務付けられていたが、12年施行の改正法により、できるだけ早期に全株を処分するとの努力規定となった。

 計画では、政府が日本郵政株の保有比率を段階的に3分の1超まで下げ、日本郵政は金融2社の株式を50%程度まで売却するとした。

 金融2社は新規事業に参入する場合、政府の認可を受ける必要があるが、株式を50%以上放出すれば届け出制に緩和される。これにより、住宅ローンや企業向け融資などへの参入を加速させる狙いだ。

 ただ、金融業界の競争は激しく、思惑通り収益が上がるかどうかは見通せない。営業力の強化と機動的な経営判断が求められよう。

 政府の後ろ盾がある金融2社の新規事業参入に対しては、全国銀行協会と生命保険協会から「民業圧迫だ」との強い批判がある。

 日本郵政は、金融2社の全株を売却する時期を示していない。政府の関与が残る状態が長く続けば、公正な競争を妨げる恐れがある。完全民営化への道筋を早期に明らかにすべきだ。

 日本郵政の傘下に唯一残される日本郵便の経営立て直しも急がれる。

 電子メールの普及で郵便物の配達が減り、宅配便でも他社に引き離されるなど、日本郵便は苦戦が続いている。その赤字を金融2社の収益で埋めているのが実情だ。

 だが、全国に2万4千局以上ある郵便局網は日本郵便の強みである。豊富な人的資源や優良不動産も持っており、専門家の間には、国際郵便業務や不動産の活用などにもっと力を入れるべきだといった意見もある。

 政府と日本郵政が株式売却で得る収入は、主に東日本大震災の復興財源に充てることになっているが、一部を郵便事業の経営改善に役立ててはどうか。

 郵便局網は国民の共有財産であり、公益性が高い。特に過疎地にとっては重要な生活インフラでもある。

 金融2社の民営化を進める中で、今後も全国一律のユニバーサルサービスを維持していくにはどうすればいいのか。政府と郵政グループは知恵を絞ってもらいたい。