緊縮策継続の是非が争点となったギリシャ総選挙は、反対を掲げる最大野党、急進左派連合(SYRIZA)が事前の予想を上回る得票率で大勝した。

 欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けるための条件だった緊縮策への、国民の強い不満が噴出した結果だ。

 SYRIZAは単独過半数にこそ及ばなかったが、同じく反緊縮派の保守政党「独立ギリシャ人党」と連立に合意し、チプラス党首が首相に就任した。

 新政権はEU側に債務減免や緊縮策の緩和を求めるが、交渉は難航する見通しだ。今後の展開によっては欧州の信用不安が再燃しかねない。

 危機的状況を招かないように、ギリシャ、EU双方に歩み寄りを求めたい。

 かつての放漫財政がたたって破綻したギリシャは2010年以降、増税や年金削減などの実行を条件に、EUとIMFなどから総額2400億ユーロ(約31兆円)の金融支援を受けている。

 厳しい緊縮策の結果、7年ぶりに経済成長がプラスに転じるなど一定の効果も表れ始めているが、その成果は多くの国民が実感するまでには至っていない。

 債務危機前と比べ国内総生産(GDP)は約3割も縮小し、失業率は約25%と依然として高い水準にある。親の失業で空腹に苦しむ子どもたちや、料金滞納で電気やガスを止められる家庭も目立つ。チプラス首相はこうした状況を「人道危機」と呼び、EU批判を繰り広げてきた。

 緊縮策への不満がいかに大きかったかは、勝利宣言に沸くアテネ市内の様子からも見て取れる。選挙結果は、ギリシャの民意として重く受け止めたい。

 一方で、ギリシャの再建はEUなどの支援抜きには成し得ないという現実を、新政権は忘れてはならない。

 EU側は基本的に債務減免には応じない構えだ。

 貸し手であるユーロ圏諸国からみれば、減免は税金の損失につながるため、それぞれの国民感情からも容易に認められない。

 スペインやポルトガルなど南欧諸国も同じく財政問題を抱えている。ギリシャに減免を認めれば、際限がなくなる懸念もある。

 現行の支援は来月末で期限が切れる。延長協議が決裂すれば、3月以降は支援が停止する恐れがある。

 最悪の場合、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥ったり、ユーロが枯渇して独自通貨発行を余儀なくされたりする事態もあり得る。影響はギリシャ一国にとどまらず、再び世界経済の波乱要素となる。

 EUの一部からは、新政権と妥協の余地があることを示唆する声も出ている。具体案として、利率削減や返済期間の延長の可能性が指摘されている。

 原則論にこだわるあまり、新政権を追い詰めて暴走させては元も子もない。EU側には、ギリシャ国民の暮らしに配慮した柔軟な姿勢を示す必要もある。

 原油安などの影響も加わって、ユーロ圏の景気低迷は世界経済の不安定要因の一つとなっている。

 欧州債務危機の再現だけは、何としても避けなければならない。