衆参両院で各党の代表質問が行われた。
 
 経済対策を盛り込んだ本年度補正予算案や、深刻な人口減少に対処する地方創生など、幅広いテーマが取り上げられた。
 
 いずれも重要な課題だが、中身の薄い議論に終わったと言わざるを得ない。
 
 要因の一つは、準備不足の野党側が、安倍政権の政策に対案を示せなかったからだ。
 
 昨年末の衆院選で自民党の「1強」を許した野党各党は、その存在意義が厳しく問われている
 。
 しっかりと態勢を立て直し、今後の委員会審議などで実のある議論を聞かせてもらいたい。
 
 安倍晋三首相ら政府側の答弁も、従来の繰り返しにとどまった。巨大与党の勢力を維持し、国民に信任されたとの自負がおごりにつながっていないだろうか。
 
 開会冒頭の通例となっている首相の所信表明演説を来月に先送りした点も、釈然としない。
 
 自民党は、衆院選で全ての公約が認められたわけではない。大切なのは、国民の理解を得て政策を進めることだ。謙虚な姿勢で審議に臨むよう求めたい。
 
 代表質問で注目されたのは、戦後70年の節目に当たって、政府が夏に出す首相談話をめぐるやりとりである。
 
 首相は「先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、日本がどのような貢献を果たすのかについて、英知を結集して書き込む」と強調した。
 
 その上で、戦後50年の村山富市首相談話をはじめ、歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいくと、これまでの説明を繰り返した。
 
 だが、安倍首相は先日のNHK番組で、過去の植民地支配と侵略に対する「痛切な反省と心からのおわび」を明記した村山談話の表現を、そのまま使うことに否定的な考えを示している。
 
 これらの表現は、20年前に日本が世界に向けて発したメッセージであり、その後の内閣が踏襲してきたものだ。
 
 全体として引き継ぐとはどういうことなのか。どの部分を、どう変更するのか。近隣諸国だけではなく、米欧も関心を寄せる重要な問題だけに、引き続き国会でただす必要がある。
 
 安倍政権の経済政策・アベノミクスに対しては、物価上昇が中小企業や低所得者を苦しめ、格差を拡大させているとして、民主党や共産党が転換を求めた。
 
 生活保護世帯が急増し、子どもの貧困が深刻化している中、格差の是正が求められているのは言うまでもない。ただ、そのための具体的な道筋は示せなかった。
 
 それでは「経済の好循環が着実に生まれ始めている」とする首相の主張に対抗するのは難しいだろう。
 
 疑問なのは、集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制について、ほとんど触れられなかったことだ。
 
 関連法案の提出が統一地方選後の4月ごろになる見通しとはいえ、平和主義の行方が問われる問題であり、今国会の最大の焦点である。
 
 議論を深めるためにも、開会直後から意見を戦わせるべきだ。各党は、国民が注視していることを忘れないでもらいたい。