小中学校は未来の担い手を育む教育の場であるだけでなく、PTA活動などで住民の交流を促す「共同体の核」としての役割も果たしている。

 過疎化などで子どもたちの数が減っても、地域から小中学校がなくなる事態は、できる限り避けたい。

 文部科学省がまとめた公立小中学校の統廃合に関する手引案は、地域に重い課題を突き付けた。「1学年1学級以下」となる6学級以下の小学校と3学級以下の中学校について、自治体に「統合の適否を速やかに検討する必要がある」と求めている。

 1956年に標準学級数を12~18学級とした指針を出して以来の見直しで、差し迫った少子化への対応が必要なことは理解できる。

 0~14歳の人口は1980年代初めの2700万人から減少を続け、2060年には約791万人になる。そんな推計を踏まえて、小中学校が過度に小規模化したり教育条件への影響が出たりすることが懸念されるとしている。

 具体的には、クラス替えができず、クラブ・部活動の種類が限定され、バランスの取れた教職員の配置や指導も困難になる。

 逆に、複数学級が編成できれば、児童生徒を多様な意見に触れさせ、新たな人間関係を構築する力を身につけさせることができるという。

 しかし、小規模校には、人間関係を深め、きめ細かな指導ができるなどの利点があることも忘れてはならない。

 徳島県内の小中学生は14年5月1日時点で5万8361人。04年(6万8419人)より1万人以上も少なく、この10年間で小学校は42校、中学校は5校減った。

 県内小学校186校のうち113校、中学校85校のうち30校が1学年1学級以下で、統廃合の検討対象になる。

 拙速な統廃合は慎むべきだろう。何よりも尊重されなければならないのは子どもたちの利益であり、保護者ら地域住民の視点である。

 若者が定住する子育て環境を守るためにも、住民が知恵を絞り、身近にある小中学校を残す手だてを尽くしたい。

 手引案では、小学校で4キロ以内、中学校で6キロ以内が適当と距離で示している通学範囲には、バス利用などを想定して「おおむね1時間以内」と時間も付け加えた。統合の対象校を広げたといえる。

 山間部を抱える三好市では23小中学校のうち19校が統廃合の検討対象となる。倉本渟一教育長は、手引案について「三好市のような広い面積を持つ自治体の実態に合っていない」と指摘。「学校を残してほしいという地域の声や通学距離を考えると統廃合は簡単には進まない」と話した。

 手引案は小規模校を存続させる対策として、情報通信技術を活用した授業や他校との合同授業などを挙げた。

 そこで注目したいのは、県教委が小中一貫教育のモデル事業として取り組む事業だ。

 阿南市の椿、椿泊両小と椿町中が連携する「チェーンスクール」では、同じ地域に分散する小中学校が合同授業などを行っている。

 牟岐町の牟岐小・中の「パッケージスクール」は、校舎が同じ敷地にある特長を生かし、教職員が学校の垣根を越えて児童生徒を指導する。

 各地域の特性を生かしながら工夫を重ね、教育・子育て機能を守りたい。