農地を工場や商業施設など別の用途に変える農地転用について、許可権限を国から自治体に移譲する方針を政府が決めた。

 地方分権改革の焦点となっていたもので、政府は閣議決定した改革方針の目玉と位置付けている。
 
 地域のことは地域が決めるというのが地方自治の基本である。地方にとってはまちづくりの自由度が増すことになり、朗報といえよう。
 
 一方で、自治体に任せると農地が守れなくなり、農業の衰退に拍車が掛かりかねないと心配する声も根強い。
 
 地方はこれまで以上に重い責任を負うことになる。その成否は分権改革の試金石ともなろう。乱開発などを招かないよう、自治体はしっかりと取り組まなければならない。
 
 農地転用の許可は現在、4ヘクタール超の大規模農地については国が権限を持っている。2ヘクタール超4ヘクタール以下の農地は都道府県が国と事前協議をした上で許可し、2ヘクタール以下は協議なしで都道府県が許可している。
 
 改革方針では、4ヘクタール超の転用について、都道府県が国と協議して許可できるようにする。2ヘクタール超4ヘクタール以下は国との協議を廃止する。
 
 さらに、一定の条件を満たして農林水産省の指定を受けた市町村は、都道府県と同じ権限を持てることにする。
 
 農地転用をめぐっては、全国知事会や市長会など地方側が10年以上も前から権限移譲を求めてきた。
 
 地域の事情に詳しくない国の審査に時間がかかり過ぎ、土地を活用する計画づくりに支障が出ていることなどが理由だ。国の関与で、地方が主体的に動けないといった不満があるのは当然だろう。
 
 徳島県も昨年、分権改革の「提案募集方式」を受けて、施策の一つとして提案していた。県議会は2013年に意見書を国に提出した。
 
 権限移譲を認めた今回の改革は大きな前進だが、気になるのは、4ヘクタール超で国の関与を残したことだ。
 
 自治体が人口減を見据えて都市計画を見直す場合などに、大規模農地が含まれていれば、国と協議しなければならない。
 
 運用面で強く縛るなら、権限移譲は名ばかりとなる。国には、自治体の判断を最大限尊重するよう求めたい。
 
 地方の訴えに対し、強硬に反対してきたのは農水省である。現場に近い自治体は事業者らの開発圧力を直接受けるため、農地の消失が進み、無秩序な開発を招く恐れがあるという主張だ。
 
 現状でも農地は減り続けており、1960年の607万ヘクタールから、2013年には454万ヘクタールへと25%も減少している。権限移譲で、さらに大きく減るのではないかという危惧があるのも理解できる。
 
 優良農地や自然環境は地域の財産であり、失われれば取り戻すことは難しい。
 
 国は減少を食い止めるため、確保すべき農地の面積を都道府県や市町村と協議する場を設けることにした。自治体が転用を適切にできるように、判断の参考になる事例集も作成する。
 
 全国知事会など地方6団体は「農地確保について、国とともに責任を果たしていく決意だ」と強調している。
 
 国の取り組み姿勢と同時に、自治体は覚悟と能力が厳しく問われることを忘れないでもらいたい。