過激派組織「イスラム国」など、過激派対策に関する閣僚級国際会議が米国で開かれ、若者を引きつける過激思想の拡大阻止に向けた行動指針となる声明を発表した。

 過激派組織を打倒し、テロを撲滅するには、軍事的な対応だけでは限界がある。

 フランスやデンマークなどで最近相次いで発生した銃撃テロ事件は、それをあらためて示したといえよう。

 過激思想の温床となっている貧困問題などをなくしていくことが重要だ。

 60カ国以上の閣僚らが参加した会議でそうした認識を共有し、結束して対処する必要性で一致したのは大きな前進である。

 若者が過激思想に感化される背景には、貧困のほか、格差の拡大や教育を受けられない劣悪な環境などがある。

 途上国だけではなく、先進国では、移民や少数派に寛容でない風潮が強まるといった課題が指摘されている。外国人でなく、自国民が起こす「ホームグロウン(自国育ち)テロ」の続発は深刻さを増している。

 さらに、イスラム国がイラクとシリアの治安悪化につけ込んで勢力を伸ばし、リビアやエジプトでも台頭しているように、不安定な政情を立て直すことも求められる。

 根本的な原因に目を向け、根を断ち切らなければ問題の解決は難しいだろう。

 長い時間はかかるものの、地道に粘り強く取り組んでいくしかない。

 声明では、暴力的な過激主義をいかなる宗教や国民、民族にも結び付けるべきではないと訴えた。

 イスラム教は寛容や多元主義といった性質を持っており、イスラムを掲げて人々を殺傷する過激派組織に宗教上の正統性はない。

 そのことを世界に広く浸透させ、テロリストを孤立化させることが肝要だ。

 国連の潘基文事務総長が席上、世界の宗教指導者を招いて「相互理解と和解」を促す特別会合を数カ月以内に開くと表明したのは心強い。成果が上がるよう期待したい。

 声明は、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを含めた戦略的広報を展開することもうたった。

 イスラム国はソーシャルメディアを巧みに使って過激思想を広め、外国の若者を戦闘員として勧誘している。約80カ国から1万5千人以上が流入しているとされ、彼らが本国に戻ってテロを起こす恐れも指摘されている。

 これに対抗し、過激派組織の宣伝がいかに危険で、欺瞞に満ちたものかを明らかにする必要がある。

 米国は世界中の大学生やソーシャルメディア、IT企業と協力すると表明し、「対テロ戦略広報特使」を国務省に新設した。各国も対策に力を入れるべきである。

 日本は新たなテロ対策を決め、会議で中東・アフリカ諸国に18億円超を追加支援することを表明した。イスラム国への戦闘員流入を防ぐ国境管理強化などへの後押しに力点を置くものだ。

 新テロ対策には、過激主義を生まない社会の構築を支援するため、若者の失業対策や格差是正、教育支援に力を入れる方針も盛り込んでいる。

 避難民への人道支援などと併せて、着実に実行し、日本の姿勢を世界に発信していきたい。