国会での論戦にやじはつきものだが、一定の品位と節度が求められる。

 安倍晋三首相が19日の衆院予算委員会で、西川公也農相の「政治とカネ」の問題を追及していた民主党議員に対し、「日教組はどうするの」などと首相席からやじを飛ばしたのは、品位に欠けた。

 日教組側と民主党議員をめぐる過去の献金事件を念頭に置いたやじのようだ。だが、閣僚としての資質が問われていたのは農相である。首相は真(しん)摯(し)かつ謙虚に、質問を受け止めるべきだった。

 民主党の前原誠司氏は20日、「極めて品位に欠ける。厳しく反省してほしい」と首相に迫った。「今後、静かな討論に心掛けたい」と答えた首相は、「答弁を妨害するのは、お互いが避けなければいけない」とも指摘した。

 与野党を問わず、聞き苦しいやじも少なくない。やじられた方が「これは一本取られた」と苦笑いせざるを得ないのが、本当のやじというものだろう。

 閣僚席、まして、首相席からのやじは自戒するのが、あるべき姿ではないか。

 きのう、首相は20日の予算委で「日教組は補助金をもらっていた」などと答弁したことについて「正確性を欠く発言があったことは遺憾で、訂正する」と述べた。

 冷静な、格調の高い論戦を聞きたいものだ。

 昨年末の衆院選で自民党が大勝したのは、安倍政権が必ずしも、無条件で信任されたからではない。野党第1党の民主党に政権奪取の意欲がなく、国民の信頼を得られなかったことも一因であろう。

 首相はおごることなく、誠実に国会の論戦に臨んでほしい。