厚生労働省は新年度から、ひとり親家庭への教育面を中心とした支援を強化する。
 
 高校卒業資格の取得などを後押しして、シングルマザーら親の労働条件の改善につなげるのが狙いだ。
 
 ひとり親家庭を取り巻く経済環境は厳しい。特に母子家庭の働いている母親の約47%はパートやアルバイトなどの非正規雇用である。
 
 深刻さを増している子どもの貧困対策のためにも、生活の向上につながる親のキャリアアップ支援を急がねばならない。
 
 厚労省によると、母子家庭は約124万世帯、父子家庭は約22万世帯に上る。就労による平均年収は、父子家庭の父親は360万円、母子家庭の母親は181万円にとどまっている。
 
 新たに始めるのは、高校卒業程度認定試験(旧大検)を受けるための講座の受講費用の補助制度で、最大6割(上限15万円)を補助する。
 
 ほかにも、看護師や美容師などの資格を取得するため、2年以上学校で学習する際、毎月7万500円から10万円を2年間支給する。
 
 厚労省は「学び直せば労働条件が良くなったり、転職の可能性が広がったりする」とみている。
 
 しかし、家計が苦しいひとり親家庭では、親はいくつもの仕事を掛け持ちしているケースも多く、子どもとゆっくり会話もできないのが実情である。
 
 講座や学校に通う余裕のある人は、いったいどれぐらいいるのだろうか。計画の実効性には疑問符が付く。
 
 ひとり親が「学び直し」に取り組めるように、環境整備も併せて総合的に実施する必要があろう。
 
 時間や気持ちにゆとりがなく、支援情報が届きにくいという指摘もある。制度の普及にも、工夫を凝らさなければならない。
 
 徳島県内には昨年8月時点で、父子家庭は1145世帯、母子家庭は8678世帯ある。
 
 県も新年度から、親の就業支援を強化する。親が資格や技能を取得する際の助成や就業に関する相談業務を充実させる。親だけではなく、子ども向けの学習支援を盛り込んでいる。生活の改善につなげてほしい。
 
 経済的格差が広がる中で、親の貧困が子どもに受け継がれる「貧困の連鎖」を断ち切る施策を充実させたい。
 
 平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子どもの割合を示す「子どもの貧困率」は悪化しており、2012年は16・3%と過去最悪を更新した。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国の平均を上回っている。
 
 中でも、ひとり親家庭での貧困率は54・6%に跳ね上がり、半分を超す世帯が貧困にさらされている。
 
 教育は貧困の連鎖を断つための重要な鍵である。しかし、その効果が表れるまでに時間がかかる。現在、経済的に苦しんでいる家庭を救う即効性の高い施策も手厚くするべきである。
 
 ひとり親家庭の父親の9割、母親の8割は働いている。いくら働いても貧しさから抜け出せないのは理不尽である。
 
 社会保障や税などの仕組みに、問題があると言わざるを得ない。抜本的な見直しが求められている。