「政治とカネ」をめぐる疑惑はどこまで広がるのか。

 閣僚の政治資金問題が相次いで発覚する中、今度は安倍晋三首相や林芳正農相、甘利明経済再生担当相、岡田克也民主党代表に関する問題が浮上した。

 それぞれが代表を務める政党支部が、国からの補助金交付が決まった企業から寄付を受けていた。

 いずれも「知らなかった」「違法性はない」と説明しているが、それでは済まされない。納得のできる説明が必要である。

 安倍首相は、自身が代表の自民党支部が2012年、中小企業庁の補助金交付が決まった大阪市の会社から、1年以内に12万円の寄付を受けていた。経済産業省の補助金が決定していた会社からも、13年に50万円の寄付を受けた。

 政治資金規正法は、国からの補助金の交付決定通知から1年間、政党や政治資金団体への寄付を禁じている。

 問題は、政治家側が交付決定を知らなければ刑事責任を問われないことだ。

 首相は、寄付を受けたのを認めた上で「補助金は知らなかった」と釈明した。

 多くの企業から寄付を受け、補助金の種類も多様な中で、交付の有無を調べるのは大変な手間が掛かるだろう。

 だが、把握できないはずはない。要は、どれだけ厳しく真剣に調べるかである。分からなかったというのは、怠慢といわれても仕方あるまい。

 第1次安倍内閣当時の07年にも、首相は補助金交付企業からの寄付が問題となり、国会で追及された。

 そんな経緯もあり、企業から寄付を受ける際、補助金を受けたかどうかを紙や口頭で聞いているという。しかし、確認は不十分だった。

 政治資金規正法の規定にも欠陥がある。

 補助金を受けた企業が寄付するのは、税金を政治家側に環流させるのと同然といえる。知らなかったでは通らないよう、見直すべきだ。

 例外規定が曖昧なのも問題である。

 規正法は、補助金の内容が試験研究や災害復旧、その他の性質上利益を伴わないものといった場合は、寄付を禁止しないとしている。

 首相に寄付した企業の一つなどは、例外に当たると主張している。

 何が例外となるのか、明確に線引きする必要がある。

 寄付する企業側が法律を守らなければならないのは言うまでもない。

 そもそも企業・団体献金には、政財界の癒着を生み、政治腐敗の温床になるという批判がある。

 政治家個人への企業・団体献金は00年に禁止されたものの、政党や政党支部、政党の政治資金団体への献金は温存された。これらを抜け道に、政治家個人の資金になるケースが常態化している。

 今回問題になっているのも政党支部である。

 政党の活動に対しては、国民1人当たり250円の税金が政党交付金として支払われており、14年度の総額は約320億円にも上る。

 政治腐敗に対する厳しい批判から導入されたことを忘れてはならない。

 与野党とも「政治とカネ」の問題を自ら解決できないのならば、企業・団体献金の全面禁止に向けた検討を始めるべきである。