東日本大震災の復興に大きな影を落としているのが、東京電力福島第1原発事故だ。

 事故発生から4年がたつのに、高濃度汚染水の処理などの問題が続発し、周辺住民は不安にさいなまれている。国や東電は原発事故の処理に全力を挙げなければならない。

 炉心溶融(メルトダウン)が起きた1~3号機では、溶融燃料の取り出しが最大のネックである。いまだに溶融燃料の位置や状態さえ、はっきりと分からないのだ。

 事故当時、定期検査中で原子炉内に燃料がなかった4号機は昨年末、使用済み核燃料プールに保管されていた燃料の取り出しを終えた。

 1号機では、放射性物質の飛散防止のために建屋全体を覆うカバーを約1年がかりで解体して、燃料の取り出しに着手する。

 2、3号機でも燃料の取り出しを目指すが、遠隔操作も必要で、全て取り出すにはかなりの困難を伴いそうだ。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構が廃炉スケジュールの軸となる「戦略プラン」の策定を進めており、その方策に注目したい。

 地下水が原子炉建屋に流れ込み、高濃度汚染水になっているのも大問題である。凍土遮水壁を設置して地下水を食い止める計画は、前提となる作業が難航している。打開策を急がなければならない。

 さらに東電は先月、2号機原子炉建屋の屋上から高濃度の放射性物質を含む雨水が、外洋に流出していた事実を明らかにした。

 新たな問題が浮上するたびに、住民が不信感を募らせるのは当然だ。東電には適切な情報開示を求める。

 岩手、宮城、福島の被災3県では、約22万9千人が県内外で避難生活を余儀なくされている。福島県が約12万人を占めており、いかに原発事故の影響が大きいかが分かる。

 徳島県内でも福島県からの12世帯33人が避難生活を送っている。地域住民の温かい支援が励ましになろう。

 政府は除染作業を進め、被災者の早期帰還の願いがかなうよう、道筋をつけたい。

 だが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設は本格稼働の時期が見通せない。福島県と建設予定地の双葉、大熊の2町が搬入の受け入れを決めたが、地権者との用地交渉が難航しているためだ。

 産業、交通インフラの課題も残る。福島県沿岸では原発事故の影響で、JR常磐線のうち46キロが運休している。

 水産庁が東北・関東5県の水産加工業者を対象に行ったアンケートで「売り上げが震災前の8割以上に回復した」とする回答は福島県が最も低く、21%にとどまった。復興への問題点は「販路の確保・風評被害」が31%と最多だ。

 風評被害をどのように払拭するか、政府が関係者とともに知恵を絞ることが大切だ。

 放射線の健康への影響も気に掛かる。原発事故当時18歳以下の福島県内全ての子どもを対象に放射線の影響を調べる甲状腺検査は、1巡目で約30万人が受診。昨年末時点でがんが「確定」したのは86人で、「疑い」は23人に上る。

 子どもを抱える家庭の悩みはとりわけ深い。国や県は健康管理に格段の配慮をしてほしい。

 政府は原発の再稼働に前のめりにならず、事故の処理と被災者らの心身のケアに力を注ぐべきである。