政府は近く、原発から出る「核のごみ」の最終処分に関する基本方針を7年ぶりに改定する。
 
 経済産業省がまとめた改定案では、使用済み核燃料を再処理した後にできる高レベル放射性廃棄物を地中に埋める方針は維持し、将来、政策変更や技術開発があれば、処分地や処分方法の見直しができる仕組みを取り入れる。
 
 自治体が受け入れやすくして、難航する処分地の選定を進めるのが狙いのようだが、実現性には首をかしげる。
 
 政府は2002年から全国の市町村に候補地を公募しているが、進展がない。07年に高知県東洋町が文献調査に応募したが、事実上の住民投票となった町長選で推進派の現職が敗れ、撤回されたことは記憶に新しい。
 
 高レベル放射性廃棄物は数万年以上、隔離しておく必要がある。1万年前が縄文時代だから、数万年とは気の遠くなるような長い期間だ。その間、安全性を保てるのか。
 
 忘れてはならないのは、日本が世界有数の地震国、火山国であるということだ。
 
 根本的な解決策が見つからない状況で、自治体が受け入れるとは考えにくい。
 
 改定案では、国が火山や活断層を避けた「科学的有望地」を複数示し、国民や住民の理解を得るとしている。
 
 だが、適地などあるのだろうか。いずれにしても、国が自治体に押し付けるようなことがあってはならない。
 
 いったん、地下300メートルより深く埋めた核のごみを将来回収できると言われても、非現実的な話ではないか。
 
 政府はこれまで電力会社などがつくる原子力発電環境整備機構に候補地選びを任せてきたが、国が前面に立つ方針に転換した。
 
 原発の再稼働を控え、政府がごみの最終処分についても積極的に取り組む姿勢をアピールする思惑があるのだとしたら、考えが甘いと言わざるを得ない。
 
 4年前の東京電力福島第1原発の事故で、国民の国や電力会社に対する不信感は根強い。「安全」の神話が崩れ、事故処理の見通しも立っていないのである。
 
 最終処分についても、安全が保障される具体策を示すことが先だ。そうでなければ、国民に再稼働への理解が広がるとは思えない。
 
 原発は「トイレのないマンション」と批判されてきた。内閣府の特別機関で科学者団体の日本学術会議も、核のごみの処理が進展しないまま原発を再稼働するのは、将来の世代に無責任だとしている。
 
 もっともな主張であり、政府は真摯(しんし)に耳を傾けるべきである。
 
 日本には使用済み燃料が約1万7千トンある。既に再処理した分も合わせると、「ガラス固化体」で2万5千本相当の高レベル放射性廃棄物がある。再稼働すれば、さらに増え続けることになる。
 
 学術会議は提言案で、地上の貯蔵施設で原則50年間、暫定的に保管し、その間に国民合意を形成すべきだとしている。負担の公平性から「暫定保管施設は原発立地以外での建設が望ましい」として、各電力会社が、管内に最低1カ所確保することを再稼働の条件として求める方針だ。
 
 政府は核のごみに関する情報を広く提供し、処分について国民的な議論を呼び起こす必要がある。