防災や治安、景観面で問題となっている空き家対策を盛り込んだ特別措置法が、一部施行された。

 人口減少により、空き家はさらに増加すると懸念されている。

 特措法は、住民に最も身近な市町村の権限を強めて、対策を促している。

 市町村は、周辺に深刻な影響を及ぼしている空き家の撤去はもとより、地域活性化の資源として有効活用に取り組んでもらいたい。

 総務省によると、2013年10月時点で全国の空き家は820万戸、住宅総数に占める割合は13・5%と過去最高を記録した。徳島県は全国平均を上回る17・6%で、全国5位だった。

 このままでは、23年には約1400万戸、21%に上昇するという民間シンクタンクの試算もある。

 空き家は老朽化による倒壊や敷地へのごみの不法投棄など、さまざまな問題を引き起こす。このため、牟岐町など全国で350を超える自治体が所有者に適正管理を求める条例を制定し、対策に乗り出している。

 特措法はこうした動きに押される形で昨年11月、議員立法により成立した。

 倒壊の恐れがある空き家の撤去や修繕を所有者に指導、勧告、命令ができる権限を市町村に与え、従わない場合は行政代執行で撤去できる規定も盛り込んだ。

 対策を進める上で障壁となっていた所有者の特定については、固定資産税の納税記録を照会できるようにした。対応の迅速化につなげたい。

 空き家放置の一因と指摘されている固定資産税の特例措置も、特例の対象から除外する方向で進んでいる。

 国は一部施行に合わせて、対策の基本指針を公表した。

 空き家かどうかの判断は、年間を通じて使われていない状態を目安とし、電気や水道の使用状況などに基づいて客観的な判断を求めている。

 強制撤去に関する部分は5月に施行される予定だ。

 法整備によって、市町村が対策を打ち出しやすくなる効果は大きい。また、市町村が対策を担えば、きめ細かな対応も可能になるだろう。

 ただし、実態調査や所有者の特定など対策を担う市町村の負担は重くなる。特に、職員数が限られる小規模自治体は、十分に対応できるのか。懸念は拭えない。

 対策を円滑に推進するためには、国や都道府県の支援が欠かせない。

 特措法は、空き家を地域活性化や福祉サービス充実のために活用する必要性も強調している。

 都市からの移住者向け住宅として注目されているほか、古民家を店舗に再利用するケースも珍しくなくなった。ほかにも、地域の集会所や学童保育など、知恵を絞ればいくらでもあるはずだ。

 地域のお荷物だった空き家を、活性化の資源として生かせれば言うことはない。

 売買情報などを提供する「空き家バンク」を設けている自治体は、徳島県内は半数以下にとどまっている。再利用促進に向けて、県は市町村やNPO法人向けの相談会を新年度に開く。

 空き家問題の解決には総合的な取り組みが不可欠だ。効果を上げるには、行政と地域、業界団体などの連携を強める必要がある。