関西電力と日本原子力発電、九州電力、中国電力の電力4社が、老朽化した原発5基の廃炉を決めた。

 東京電力福島第1原発事故の後、運転期間を原則40年に制限した規定に従い、電力会社が廃炉を決めたのは初めてだ。国民が原発の安全性に厳しい視線を注ぐ中、安全の確保に膨大な費用がかかる老朽原発の廃炉は、当然の判断といえる。

 廃炉になるのは、関電の美浜原発1、2号機(福井県)、原電の敦賀原発1号機(同)、九電の玄海原発1号機(佐賀県)、中国電の島根原発1号機(島根県)だ。いずれも運転開始から40年前後で、出力は34万~55・9万キロワットと、新しい原発に比べると小さい。

 老朽原発でも、原子力規制委員会の審査を受けて新しい規制基準に適合すれば、最大で20年運転を延長できる。

 だが、4社は安全対策に巨額の投資を行って運転を延長しても、採算の確保は困難と判断したようだ。停止中の原発の再稼働に向け、老朽原発の廃炉を進めて安全重視の姿勢を強調したい政府の意向に沿ったのだろう。

 政府が廃炉を後押しするため、電力会社に手厚い配慮をしたことも大きな要因だ。

 電力会社は2016年の電力小売り全面自由化後も、原発の廃炉費用を電気料金に転嫁できる。廃炉に関する会計規則も変更し、電力会社の財務負担も大幅に軽減した。

 だが、廃炉費用の電気料金への転嫁に反発する国民は少なくない。

 老朽原発の選別が始まったことも見逃せない。関電は出力が82・6万キロワットと大きい高浜原発1、2号機などの再稼働に向け、規制委に審査を申請した。

 原発の老朽化に伴い、各社は重い決断を迫られよう。

 四国電力は運転開始から37年になる伊方原発1号機(愛媛県)の廃炉に含みを残しており、今後の経営判断に注目したい。

 安倍政権は「原発回帰」の姿勢を鮮明にし、再稼働を推進している。

 九電の川内原発1、2号機(鹿児島県)は再稼働に必要な審査に合格し、1号機は工事計画も認可された。再稼働は夏以降とみられる。

 だが、福島第1原発の事故処理が難航し、住民が不信感を募らせる状況で、再稼働が許されるだろうか。

 政府は昨年まとめたエネルギー基本計画で、原発を安定して発電できる「重要なベースロード電源」と位置付ける一方、原発依存度を可能な限り低減させるとした。

 エネルギー政策の柱となる30年の電源構成では、原発比率は15~20%を軸に検討するようだ。比率によっては、廃炉後の敷地に新たな原発を建設する「リプレース」が新たな論点になる可能性がある。

 それよりも、原発依存からの脱却を急ぐべきではないだろうか。

 地元自治体には、廃炉に伴い、国の交付金や固定資産税の大幅な減少、雇用喪失への懸念がある。住民にも不安の声があるようだ。

 政府には、財源や雇用など地元への配慮を求めたい。

 廃炉で大量に発生する低レベル放射性廃棄物の処分場確保も大きな課題だ。使用済み核燃料を再処理した後にできる高レベル放射性廃棄物の処分場とともに、政府は解決策を示さなければならない。