3年ぶりの日中韓外相会談がソウルで開かれた。

 岸田文雄外相、中国の王毅外相、韓国の尹炳世外相は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立で、2012年5月から中断している3カ国首脳会談に関し「最も早期で都合の良い時期に開催するよう努力する」との方針で一致した。

 首脳会談の再開に向け、一歩前進したといえる。

 岸田氏は「日本は日中韓サミットの早期開催を重視してきた。外相会談で一致したことを歓迎する」と外交成果を強調した。

 だが、日中、日韓の歴史認識問題が絡み、開催時期は玉虫色の表現にとどまった。

 共同文書には「歴史を直視、未来に向かうとの精神の下、諸課題に適切に対処する」と明記された。

 首脳会談開催への課題をどう乗り越えるか、日本政府の対応に注目したい。

 岸田氏は中韓外相との個別会談で、歴史認識問題について安倍政権が歴代内閣の立場を引き継ぐ考えを強調した。

 日中外相会談では、王氏が「日本がどういう態度であの侵略戦争を扱うかが、中日関係の政治的基礎に関わる」と述べた。

 安倍晋三首相が夏に発表する戦後70年談話で、「侵略」を明記した1995年の村山富市首相談話を継承するかどうか、注視しているようだ。中国が70年談話を外交カードとして利用しようとしているのは明らかである。

 岸田氏は、尖閣諸島周辺で中国公船が領海侵入を繰り返しているのを念頭に、「関係改善の機運を高めなければならないが、東シナ海ではそれに反する動きがある」と懸念を伝えた。

 中国は尖閣周辺での威圧的行動を慎み、関係改善に向けて努力しなければならない。

 日韓外相会談では尹氏が、70年談話で歴代政権の歴史認識を継承していると表明するよう求めた。村山談話に盛り込まれた「植民地支配」との表現が継承されるか、懸念を示したとみられる。

 安倍首相は自らの歴史認識を踏まえて、談話を作成する意向である。

 日韓が国交正常化50年という節目の年に、ぎくしゃくした関係にあるのは残念だ。成熟した友好関係を築く必要がある。

 韓国の朴槿恵大統領は、日中韓首脳会談の開催を提案したが、従軍慰安婦問題で日本が歩み寄らない限り、日韓首脳会談には応じない姿勢だ。

 韓国は日本固有の領土である島根県・竹島を実効支配し、昨年11月には近海で防衛訓練を行った。関係改善に水を差してはならない。

 3国は歴史や領土をめぐるナショナリズムより、未来志向で前提条件なしに首脳会談を開くことを重視すべきだ。

 日中韓外相会談では、3カ国による「テロ対策協議」と「アフリカ政策協議」を再開することで一致。東日本大震災を踏まえた防災面や環境問題での協力も申し合わせた。

 北京の大気汚染対策など3国が力を合わせて解決すべき課題は幾らもある。

 3カ国首脳会談の持つ意味は大きい。2国間で対立があっても、3カ国が協力可能な経済、貿易、環境などを議題に会談することが、平和と安定に寄与するからだ。

 首脳同士が信頼関係を築くためにも、定期的な開催が不可欠である。