徳島県内初の「がんセンター」が来月1日、徳島市民病院に開設される。

 患者の受付を一本化し、チーム医療を強化して切れ目のないがん診療を目指す。

 がん患者は今後、ますます増えるとみられており、がんに特化したセンターができる意義は大きい。

 市民病院の取り組みが、徳島市内はもちろん、県内のがん医療全体の底上げにつながるよう期待したい。

 センターは建物を新設するのではなく、院内のチーム医療を充実させる組織づくりが柱となる。

 その核になるのが医師や看護師、薬剤師、放射線技師ら専門家が集まって治療方針を決める症例検討会「キャンサーボード」である。

 これまでも各診療科が必要に応じて行っていたが、複数の診療科が参加して週1回、定期的に開くようにする。

 診療科の垣根を越えたチームを組み、キャンサーボードを定例化することで専門家の知識や経験を結集し、それぞれの患者に最適な治療を選択できるようにする狙いだ。

 医療技術が高度化する中、診療科や医師の連携、情報共有の重要性は高まっている。キャンサーボードを機能させ、他の医療機関のモデルになるようなチームづくりを目指してほしい。

 センターは薬物療法を行う「腫瘍内科」、手術をする「腫瘍外科」、白血病などに対応する「血液腫瘍内科」、心療内科医が心のケアをする「腫瘍精神科」、痛みを和らげる「緩和ケア内科」の五つの診療科で構成する。

 ただ、患者に分かりやすいよう、受付は「腫瘍外来」に集約する。

 緩和ケア病棟を設けるのも大きな特徴だ。

 がんは痛みや吐き気、息苦しさ、倦怠感など、体や心に苦痛を与える。それらをいかに抑えるかが、患者の生活の質向上の鍵を握っている。

 センターでは、従来以上に早い段階から苦痛を緩和できるようにするという。当初は5床の緩和ケア病床で始め、来年3月までに20床に増やす計画だ。

 緩和ケア病棟は県内で3例目になるが、行き届いた対応を求める患者や家族は多い。需要によっては増床を検討する必要があろう。

 退院した後、状態が悪くなると予想される患者には「あんしんカード」を発行する。

 これを持っていればいつでも優先的に市民病院で受診でき、患者だけではなく、かかりつけ医の安心感も高まるだろう。

 県内では初の試みである。在宅医療の役割が増す中、効果に注目したい。

 課題は医師や看護師、薬剤師など、優秀な人材をどれだけ確保できるかだ。

 市民病院は新年度から5年間の経営強化プランで、医師12人を含め、職員を計40人増やす計画をまとめている。

 県内の医師は県東部に偏在しており、県内から集めれば他地域の医師不足がさらに深刻になりかねない。

 そうした現状を考えれば、県外からの人材確保に力を入れるべきだろう。そのためにも、センターの魅力を高めることが欠かせない。

 県がん診療連携拠点病院である徳島大など、他の機関との相互協力を進めながら、より質の高い医療の提供に努めてもらいたい。