南海トラフ巨大地震に備え、人命救助に向けた応援部隊派遣や救援物資輸送の方針を定めた、政府の応急対策活動計画がまとまった。

 徳島など甚大な被害が想定される10県を重点支援対象とし、自治体の要請を待たずに人と物を集中して送り込むとしたのが特徴だ。

 応援部隊の規模は自衛官や消防士、警察官ら最大14万2600人に上り、まさに国を挙げた取り組みとなる。

 被災者数や被災地の範囲は、東日本大震災をはるかに超えるとみられる巨大地震である。

 いかに速く、多くの支援を投入し、効率よく活動できるかが減災の鍵を握っている。

 災害の発生から時間を追った具体的な対応が示されたのは心強い。

 今後は、これを基に国や自治体、住民が救助などの訓練を重ね、課題を検証しながら計画の実効性を高めることが肝心だ。

 計画では中部、近畿、四国、九州のいずれでも震度6強以上が観測されるか、大津波警報が発表された場合に、国や自治体などの関係機関が直ちに活動を始めるとした。

 その上で、緊急輸送ルートの確保や救助、医療、物資調達、燃料供給、防災拠点について、行動目標を時系列に示している。

 各分野で重視したのが、生存率が大きく下がるとされる災害発生から72時間までの行動である。

 人の派遣では、発生直後に消防、警察の先遣隊や災害派遣医療チーム(DMAT)が出動し、12時間以内に最初の目的地の広域進出拠点に到着。48時間をめどにDMATに加え、日赤や日本医師会の医療チームも活動を始める。

 緊急輸送ルートや物資調達でも、被害が大きい地域の道路の大部分を72時間以内に使えるようにし、4日目までには救援物資が避難所などに届くようにするとした。

 ただ、これらはあくまでも目標であり、被害によって状況は大きく変わる。実際に役立てるには、各機関がさまざまなケースを想定し、臨機応変に対応できるようにする必要がある。

 受け入れる側の備えも重要だ。計画は、救援物資を集積して避難所などに配る「広域物資輸送拠点」97カ所を決め、徳島県内では県立防災センター(北島町)やまぜのおか南部防災館(海陽町)など、6カ所が選ばれた。

 県や市町村は地域防災計画に反映させる。地域の実情に合った輸送手段やルートの検討を急がなければならない。

 政府は昨年3月、住宅の耐震化などハード面の対策強化により、最悪で30万人以上とされる死者数を、10年間で8割減らす目標を設定した。

 今回の計画は応急対策でそれを補強し、助かる命を救おうというものだ。

 県は、南海トラフ地震での「死者ゼロ」の目標に近づけるよう、しっかりと取り組んでもらいたい。