2020年までの国の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」を、政府が決定した。

 女性が結婚、出産しても働き続けられるよう、男性や企業の意識改革を促したほか、3人以上の子どもがいる多子世帯の負担軽減や若者の結婚支援を初めて盛り込んだ。

 少子化対策に特効薬はなく、いずれも着実に進めていかなければならないものばかりである。

 ただ、実現に向けたハードルが高いにもかかわらず、具体策は乏しいと言わざるを得ない。

 これまでの対策がなぜ効果を上げられなかったのか。その反省に立ち、少子化の克服へ、若者や企業に対する思い切った支援策を打ち出す必要がある。

 大綱は少子化社会対策基本法に基づいて04年に作られ、今回は2回目の改定となる。

 今後5年間を集中取り組み期間とし、結婚から子育てまでの各段階について、さまざまな数値目標を掲げたのが特徴だ。

 働き方をめぐっては、男性の意識や行動を変える必要性を強調。有給休暇や企業独自の制度創設を通じて、20年には妻の出産直後の男性の休暇取得率を80%にするとした。

 13年度に2・03%しかなかった男性の育児休業の取得率も、13%に引き上げる。

 さらに、6歳未満の子どもを持つ男性の家事・育児時間を11年の1日67分から2時間半に増やし、第1子出産前後の女性の継続就業率を、10年の38%から55%に高めるとの目標も掲げた。

 いずれも鍵を握るのは長時間労働の是正だが、大綱が挙げた取り組みは、企業への「周知啓発」など抽象的なものにとどまっている。

 これでは掛け声倒れになりかねない。働き方を見直し、男性の育休取得率や女性の継続就業率を高めた企業に特典を与えるなど、具体的な誘導策を検討すべきである。

 若者の結婚支援では、男女の出会いの場を提供する自治体や企業をバックアップするとし、多子世帯については、第3子以降の保育料を無料とする範囲の拡大を検討すると明記した。

 保育所の充実や、非正規雇用の正規雇用化にも取り組むとしている。

 しかし、肝心の財源に関しては「予算の拡充を図る」と表記しただけである。裏付けがなければ、実効性を欠いたものになる。

 少子化に歯止めがかからないことについて、大綱は「社会経済の根幹を揺るがしかねない危機的な状況」と指摘している。

 1970年代に年間100万組を超えていた結婚の数は、13年には約66万組と戦後最少に激減し、未婚率は大幅に上昇した。

 結婚や出産を阻んでいる要因を取り除き、個人が望む時期に結婚できる環境をつくらなければならない。

 対策は待ったなしである。