徳島県議選がきょう告示される。
 
 深刻な人口減少危機に直面する中で、徳島の将来像をどう描いていくのかが問われる。立候補者はそれぞれの地域が抱える課題と解決策を具体的に提示し、活発な論戦を繰り広げてほしい。
 
 県議をはじめ、地方議員に向けられる有権者の視線は今、かつてなく厳しい。政治家としての資質が疑われる不祥事が全国で相次ぎ、有権者の不信感が頂点に達しているためだ。
 
 中でも「第二の議員報酬」ともいわれる政務活動費をめぐっては、前兵庫県議の号泣会見を機に不透明な使途が次々と明らかになっている。
 
 徳島県内でも、県議2人が不正受給したとして辞職に追い込まれた。2人は架空の県政報告会を開いたように見せ掛けて領収書を改ざんしたり、白紙の領収書に自分で金額を書き込んだりしたとされる。
 
 住民の信頼を裏切る行為であり、政務活動費が税金で賄われているとの意識が欠如していると言わざるを得ない。
 
 地に落ちた信頼を取り戻すために、どう透明性を高めていくのか。立候補者は選挙戦を通して、有権者に明確に説明する必要がある。
 
 日本の地方自治制度は、議会と首長をいずれも住民が直接選ぶ二元代表制を採用している。それぞれ民意を受けた議会と首長が、緊張感を保ちながら歯車をうまくかみ合わせ、地方行政を前に進めていくのが本来の姿だ。「議会と首長は車の両輪」とされるゆえんである。
 
 だが現状はどうか。県議会本会議で議員側が飯泉嘉門知事を厳しく追及することは少ない。むしろ知事を持ち上げる場面すら見られる。議会と知事がなれ合いに陥れば「一心同体の一輪車」になる。選挙戦を、チェック機関としての議会の存在意義をあらためて考える機会にしたい。
 
 県議選は今回から徳島、板野両選挙区の定数が1減となり、14選挙区・定数39で争われる。問題なのは、このうち過去最多の7選挙区が無投票となる見通しであることだ。14人が県民の審判を受けずに当選し、有権者の約32%に当たる約20万8千人の投票の機会が失われる。
 
 由々しき事態である。無投票になれば、その地域にとって重要な政策課題を議論する場がなくなる。住民の政治離れを加速することにもなりかねない。
 
 議員になる魅力がない、出馬へのハードルが高いなど理由はさまざまあるだろう。女性や若者、勤め人など幅広い人材が名乗りを上げやすい仕組みづくりを真剣に考えるべき時期である。
 
 前回(2011年)の県議選投票率は52・94%で、過去最低だった。今回は安倍政権が地方創生を掲げ、地方に注目が集まる中での選挙戦である。誰が地域の代表にふさわしいか。しっかり見極めて一票を投じたい。