日米など12カ国による環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり、日米2国間の協議が大詰めを迎えている。

 閣僚協議では相当の前進があったとされるが、両国の溝は完全には埋まらず、決着を持ち越した形となった。

 今年後半から米大統領選が本格化するため、12カ国によるTPP交渉全体の大筋合意は6月ごろが期限とみられている。合意の鍵を握る日米協議に残された時間はもう多くない。

 だが、日本にとって大事なのは国内の農業を守ることである。焦ることなく、国益を第一に考えながら協議を前に進め、決着への道を探ってもらいたい。

 日米協議で残る最大の論点はコメの輸入と自動車関税の扱いであり、閣僚協議でもこれが焦点となった。

 日本は世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、ミニマムアクセス(最低輸入量)として、年間77万トンのコメを無関税で輸入している。

 このうち、米国からの輸入量は昨年度で約36万トンに上る。米国は今回、主食用米17万5千トンと加工用など4万トンの計21万5千トンをさらに上乗せするよう、日本に求めてきたという。

 これを日本が拒否したのは当然だろう。

 日本の主食用米の生産量は昨年度で789万トンになる見通しで、過剰感が強い。消費拡大を目指しているのとは裏腹に、主食用米の消費量は毎年、徳島県内の生産量に匹敵する約6万トンも減っているのが実情だ。

 そうした中で、輸入量を17万トン以上も増やすのは農家への影響が大きすぎる。

 日本は閣僚協議で、米国産主食用米の輸入を5万トン程度増やすことを提案したが、折り合えなかった。さらに日本は、米国を含めた交渉相手国全体で計10万トン未満の輸入枠新設も検討したとされる。

 譲歩できるぎりぎりの量と判断したのだろうが、輸入を5~10万トン増やした場合、国内農業が被る打撃を抑える方策が欠かせない。

 牛・豚肉でも、関税削減の進め方や緊急輸入制限をめぐって調整が進められている。

 コメなど農業重要5項目を守るとした国会決議を尊重し、日米協議と並行して、実効性のある国内対策を検討する必要がある。

 自動車に関しては、部品に課している関税の即時撤廃を日本が求めたが、米国は当面維持する姿勢を変えなかったとみられる。

 国内産業界の圧力を受けているのは、日米両国とも同じである。互いに妥協できる線を模索し、一致点を見いだしていくしかない。

 TPP交渉は日米間だけではなく、マレーシアやベトナムなどと米国との間でも、知的財産や国有企業改革の分野で意見の対立が続いている。

 あすからは、参加12カ国の首席交渉官会合が米国で開かれる。どこまで進展させられるのか注目したい。