エネルギー政策の重要な柱となる2030年の電源構成比率を検討する作業が、大詰めを迎えている。

 経済産業省の有識者委員会は今月末、電源ごとの比率を示す見通しだ。

 東京電力福島第1原発事故を受け、現在稼働ゼロの原発の扱いと、太陽光など再生可能エネルギーの割合をどこまで高めるかが焦点である。

 福島の原発事故は収束が見通せない状況であり、国民の不安や反発は根強い。できる限り原発の比率を低減させるとともに、再生エネの導入を加速させるべきだ。

 自民党は原発や石炭火力、水力、地熱の「ベースロード電源」を、現在の約4割から東日本大震災前の約6割に高める提言を安倍晋三首相に提出した。

 電源別の具体的な比率は明示していないが、大量の温室効果ガスを出す石炭火力を増やすのは困難であり、地熱や水力も急速な普及は見込めない。これらの状況を勘案すれば、原発は全体の約2割を占める計算になる。経団連は25%超が妥当とする提言を発表している。

 こうした声を受けて、経産省は原発比率を「20~22%」とする素案を有識者委員会に提示する。

 だが、原則40年の運転期間が守られれば、30年の原発比率は15%程度まで低下する。つまり、20~22%という数値は原発の新増設や建て替え、運転延長を前提にしている。

 再稼働でさえ強い反発があるのに、まして新増設や建て替えとなれば、国民の理解は到底得られまい。

 昨年4月に閣議決定したエネルギー基本計画では「原発依存度は可能な限り低減させる」と明記している。低減できる余地はないのか、徹底した議論が必要だ。

 一方の再生エネについて、経産省は13年度の10・7%を「22~24%」へ引き上げる。

 電源構成比率を基に温室効果ガスの削減目標をつくる環境省は、送電網の整備などで再生エネを最大35%まで伸ばせるという試算を公表した。

 宮沢洋一経産相は「実現可能性を十分考慮していない」と試算に否定的だ。高コストで効率が悪いという、再生エネを敬遠する経済界の考えに沿ったものだ。

 確かに、再生エネには課題も多く、現状では過度の期待はできない。だが、目先の課題のみに目を奪われてはいけない。

 世界の風力発電能力は、20年には倍増すると予測されている。欧米各国は温暖化対策などのため、再生エネの拡大に力を入れている。風力に限らず、再生エネが急成長を続けるのは間違いない。

 そこには大きなビジネスチャンスがある。技術革新を促すためにも、積極的に導入する必要がある。

 電力構成比率は、暮らしを左右する重大な選択だ。原発から再生エネへのシフトという大きな方向性を間違ってはならない。