岐阜戦の前半、相手の守備ラインを自ら突破しクロスを上げる徳島の岸本=鳴門ポカリスエットスタジアム

 ピッチでは切れ味鋭いドリブルと強気のシュートで相手を翻弄(ほんろう)する一方、普段はおっとりした関西弁の口調が周囲を和ませる。FW岸本武流(21)=奈良県出身=は、そんな不思議なギャップが魅力の気鋭のアタッカーだ。

 鹿児島とのシーズン開幕戦で後半途中、トップの一人として交代出場し、わずか10分後にCKから初得点を決めた。岐阜戦では右サイドに起用され、正確なクロスで何度も好機をつくって観客席を沸かせた。

 「とにかく試合に出たい。出たら結果を出すんで、いつでも、どこ(のポジション)でも使ってくれって気持ち」と屈託ない。1対1での突破力や最後まで走りきる走力にも「負けない自信がある」と話す。

 三つ年上の兄を追い掛けて幼稚園のころからボールを蹴った。スポーツ少年団など地域のチームでプレーしていたが、転機が訪れたのは中学3年の時。C大阪のユースの練習会に誘われた。

 練習会で偶然、今は日本代表FWの南野(オーストリア・ザルツブルク)とコンビを組んだ。「どんなパスを出しても南野さんがシュートを決めてくれたんで(コーチ陣の)目に留まったんじゃないかな」と、笑顔で当時を振り返る。

 2016年にJ3でデビューし、5月の鹿児島戦でJ初得点を挙げる。10月のU-19(19歳以下)アジア選手権は代表に選ばれ、先発した準決勝のベトナム戦で先制点を決めた。

 昨年は水戸で38試合に出場し3得点。「満足はしてない。立ち止まったら貪欲さを失う気がする」と徳島移籍を選択した。周囲からは「(徳島の)つなぐサッカーはお前に向いてない」と言われたが、新しい挑戦への意欲は揺るがなかった。

 初めての徳島の地は「自然が豊かで山に囲まれ、(出身地の)奈良と似ていて落ち着く」。オフはチームメートと徳島市近郊のゴルフ場に出掛けるなど早速、徳島暮らしを満喫している。

 気さくな人柄でサポーターとの交流も楽しみという。「頑張って得点を決めるので、ぜひ僕のゴールパフォーマンスを考えてほしい」と呼び掛けている。