日本とキューバの政治、経済交流が広がりそうだ。

 米国との関係改善に伴い、日本の外相として初めてキューバを訪問した岸田文雄外相が、フィデル・カストロ前国家評議会議長、弟のラウル・カストロ議長らと相次いで会談した。

 2008年に引退し、健康問題を抱えるカストロ前議長が、外国の閣僚級と面会するのは珍しい。キューバが日本を重要な友好国だと認識している証しといえる。

 日本も貿易、投資、企業進出、医療などでキューバ市場の開拓を進めたい。

 岸田氏との会談で前議長は「日本人は勤勉で日本製品は優秀だ。日本とは常に友好関係にあった」と話し、農業、防災や核兵器についても意見交換した。広島出身の岸田氏は「核兵器廃絶について思いを共有できた」と述べた。

 長年、キューバを指導してきた前議長と会談した意義は大きい。

 ラウル・カストロ議長も岸田氏に「経済関係など2国間関係を強化したい」との考えを伝えた。

 注目したいのは、今後の経済交流と日本からの支援の在り方である。

 岸田氏はロドリゲス外相とも会談し「本格的に無償資金協力を実施したい」と表明。がん治療に使う医療機器提供など政府開発援助(ODA)を拡充する考えを示した。

 さらに、キューバの経済制度改革を後押しするため、両国の政府と企業関係者の「官民合同会議」を新設することでも合意した。日本が求める雇用や税制の見直しなどビジネス環境の整備も協議される見込みだ。

 岸田氏の訪問に、重機や医療機器のメーカーなど多くの企業関係者が同行したのは、関心の高さを物語る。

 観光や天然資源にも恵まれたキューバはもともと親日国で、1970年代に大量に砂糖を輸入していた日本は、主要な貿易相手国だった。交流拡大の素地は十分ある。

 最近になって、キューバ政府と中国企業が合弁会社を設立し、ハバナ近郊にゴルフ場やホテルを併設するリゾートの開発で合意するなど新たな動きも出てきた。

 日本は後手に回らないようにする必要がある。

 岸田氏は、北朝鮮の友好国であるキューバに拉致問題解決への働き掛けを要請し、日本の国連常任理事国入りに向けた国連改革にも理解を求めた。キューバ側の協力にも期待したい。

 米国とキューバの関係改善は進みつつある。オバマ氏とカストロ議長は先月、パナマ市で59年ぶりの歴史的な首脳会談を行い、国交正常化を急ぐことで一致した。

 オバマ氏は社会主義国キューバの体制維持を認めた。その上でテロ支援国家指定の解除も決め、議会に通告した。新たなキューバ政策は世界の平和と安定につながる。

 日本はこの好機を最大限に生かさなければならない。