大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が推進してきた「大阪都構想」への賛否を問う住民投票は、反対が賛成を僅差で上回った。

 大阪府との二重行政の解消に向け、政令指定都市の大阪市を廃止して五つの特別区を新設する都構想は実現しなかった。

 大阪の未来を懸けた市民の選択は重い。

 看板政策に「ノー」を突き付けられた橋下氏は、12月の任期を全うした後の政界引退を表明した。かねて明言していた通りの身の処し方だ。

 だが、それで問題が解決するわけではない。半数に迫る賛成票は、市民が改革の必要性を認めた証しだ。府市を挙げて無駄をなくし、大阪の発展と住民生活の向上に、全力を尽くさなければならない。

 橋下氏が都構想を発表したのは2010年。インパクトのある構想は、市民が府市の行政の在り方を考えるよいきっかけになった。

 大阪維新の会が中心の賛成派は、特別区が福祉など身近な行政サービスを行い、広域的な行政を府に一元化して大阪の発展につなげると主張してきた。

 一方、自民、民主、公明、共産の各党など反対派は、特別区新設には無駄なコストがかかり、住民サービスも低下すると訴えていた。

 無党派も多い大阪で、なぜ都構想への支持が及ばなかったのか、橋下政治の功罪と併せて検証する必要がある。

 共同通信社の事前の電話世論調査では、反対が賛成をやや上回っていた。反対理由は「メリットが分からないから」「住民サービスが良くならないから」「大阪市がなくなるから」の順だ。

 橋下氏の都構想についての説明は「十分ではない」が66・3%もあった。敗北後、橋下氏も「しっかり説明し切れなかった」と認めた。

 橋下氏の政界引退で、大阪維新の会は求心力を失う。府議会や市議会が混乱すれは、大阪発展の妨げになろう。対立ではなく、住民のための政治を求める。

 大阪市に足踏みをしている暇はない。新たなリーダーの下で、商都の復権と活性化に向け、小手先ではない改革と将来的なビジョンを練らなければならない。

 安倍晋三首相ら官邸サイドは、安全保障法制の整備や憲法改正問題で維新の党の協力を得ようと、橋下氏寄りの姿勢を見せていたが、当てが外れた格好だ。

 もとより、地方自治を安保政策と絡めること自体が、心得違いである。

 東京一極集中が進む中、関西は地盤沈下を続けている。

 徳島県は古くから大阪との結びつきが強い。大阪府、大阪市と共に関西広域連合に参加しており、今後、ますます広域行政の必要性が高まるだろう。大阪の衰退は、本県にとってもマイナスである。

 大阪との一層の連携強化に向けて、本県から新たな提言をすることも大切だ。