徳島市が単独で中核市への移行を目指すことになった。中核市になれば、市民にとってどんなメリットやデメリットがあるのか。市は説明を尽くさなければならない。

 原秀樹市長が初めて中核市構想を打ち出したのは、2004年である。

 当初は近隣の多くの市町村との合併を視野に人口40万人規模の中核市を目指したが、徳島市主導で進むことへの抵抗感などから頓挫した。

 その後、小松島市、佐那河内村との検討会議でも合併の機運は盛り上がらないまま、現在に至っている。

 中核市移行の人口要件は30万人以上だったが、改正地方自治法が先月施行され、20万人以上に引き下げられた。20万人以上が要件だった特例市の廃止に伴う措置だ。

 徳島市の人口は現在約26万人で、要件を満たすことになり、市長は単独移行へとかじを切った。

 市は、中核市になると県から約2千の事務が移譲され、処理の一元化によって充実したサービスが迅速に提供できると強調している。

 例えば、市が受け付けて県が認定する身体障害者手帳の交付は市が一括して行えるようになる。都市計画の権限が移譲されて地域特性に応じた個性あるまちづくりができる利点や、知名度アップによる交流人口拡大の期待もある。

 だが、デメリットも見逃せない。気掛かりなのは、市民が十分にそれを理解しないまま進められていくことだ。

 徳島市にとって、大きなハードルは保健所の設置である。医師ら専門職や事務職など50人程度の職員増が必要となり、一定規模の施設も確保しなければならない。財政や人員は大丈夫なのか、慎重に見極めてもらいたい。

 市が中核市構想に乗り出した背景には、国が道州制の導入を推進したのに対し、人口規模で存在感を示さなければ予算配分や都市整備で他県の県都に後れを取るとの危機感があった。

 しかし、道州制の議論は停滞し、国は自治体の広域連携に財政措置をする連携中枢都市圏構想を打ち出すなど、人口減と高齢化に対応した新たな方向性を模索している。

 徳島市は四国の県都で唯一、中核市になっておらず、05年には財政危機宣言を出すなど財政基盤も弱い。

 ただ、だからといって都市のステータスにこだわり、国の方針や財政措置ばかりに振り回されてはならない。

 15年後に徳島市の人口が20万人に減るとの予測もある中で、県都としてどのようなまちの姿を目指すのか。将来ビジョンを明確に示した上で、市民の暮らしを最優先にした施策を実施するべきである。

 中核市移行には知事と県議会の同意が必要となる。県市の協議が今後動きだすが、現状では中核市が市民に強く望まれているとは言い難い。

 徳島市には、市民の関心を高めながら理解と協力を得ていく姿勢が求められる。