これでは世界の潮流から取り残されるのではないか。

 政府が、温室効果ガスの排出量を2030年までに13年比で26%減らすとした日本の新目標を了承した。
 
 安倍晋三首相は「国際的に遜色のない野心的な目標」だと述べている。しかし、欧州連合(EU)などの目標に比べると数値は低く、とても野心的といえるものではない。

 首相は、7、8日に開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で各国に目標を説明する方針だが、果たして理解を得られるだろうか。
 
 再生可能エネルギーの普及に力を入れるなどして、数値を積み増すべきだ。
 
 各国・地域の削減目標は、EUが30年までに1990年比で40%としたほか、米国は2025年までに05年比26~28%、ロシアは30年までに1990年比25~30%などとしている。
 
 日本の「13年比で26%」を1990年比で換算すると18%にとどまり、2005年比では25・4%となる。かつて省エネをリードしてきた日本としては、見劣りがする。

 政府は、09年のG8サミットで合意した「50年に先進国全体で80%削減を目指す」とした長期目標と「整合的なものだ」と主張しているが、なぜそう言えるのか、具体的な説明をしていない。
 
 このままでは30年以降に相当厳しい削減努力をしないと、50年の長期目標を達成できなくなる。専門家や環境団体から、そんな批判が上がるのは当然だろう。
 
 日本の目標は、政府が決めた30年の電源構成比率を主な要素として導き出された。原子力を20~22%、石炭を26%などとしたものだ。
 
 このうち、導入の機運が高まっている再生エネは22~24%に抑えられた。主導した経済産業省が、コストがかかるとして消極的だったためだ。
 
 だが、再生エネのコストは近年下がってきている。新規参入の希望が多く、地域経済の活性化や新たなビジネスチャンスにもつながり、潜在力は極めて大きいといえよう。
 
 環境省は4月、送電網や蓄電池を整備すれば、30年に全電力の35%をまかなえるとの試算を公表した。EUは30年に45%と、日本の約2倍に拡大する目標を掲げている。
 
 安倍政権は昨年、閣議決定したエネルギー基本計画で、再生エネの導入を最大限加速させるとした。首相は今年2月の施政方針演説で「世界の温暖化対策をリードする」と語っている。それが建前でないのなら、思い切った導入促進策を打ち出すべきである。
 
 もちろん、省エネ対策や水素エネルギーの普及などにも力を入れなければならない。
 
 政府はパブリックコメント(意見公募)を経て、来月にも国連の事務局に目標を提出する。年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、新枠組みに向けた交渉をけん引しようとするのなら、目標の見直しが欠かせない。